FDAが再発卵巣がん維持療法薬としてルカパリブを承認

2018年4月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、白金製剤ベースの化学療法に完全奏効または部分奏効する再発上皮性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がんの維持療法薬としてポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(poly ADP-ribose polymerase:PARP)阻害剤rucaparib[ルカパリブ](商品名:Rubraca[ルブラカ]、クロービス・オンコロジー社)を承認した。

今回の承認は、白金製剤ベースの化学療法の2回以上の治療歴があり、最近の白金製剤ベースの化学療法に完全奏効または部分奏効した再発上皮性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がん患者561人が参加したARIEL3(NCT01968213)試験(ランダム化二重盲検プラセボ対照試験)に基づく。参加患者はルカパリブ 600 mg 1日2回経口投与群(372人)とプラセボ群(189人)に2:1の割合でランダムに割り付けられ、疾患が進行するか毒性を許容できなくなるまで治療を受けた。

腫瘍組織検体を次世代シーケンシング解析で検査し、DNAが有害な体細胞系または生殖細胞系BRCA変異(tBRCA)を含むかどうかを判定した。こうした検査はゲノムにおけるヘテロ接合性の消失(loss of heterozygosity:LOH)率の判定にも使用された。相同組換え不能(homologous recombination deficiency:HRD)陽性とは、tBRCA陽性、LOH率高値の両方あるいは一方を満たすことと定義された。患者転帰の解析3種類が全参加患者、HRD群、およびtBRCA群の3群に対して実施された。

ARIEL3試験により、研究者らが評価した無増悪生存期間(PFS)推定中央値は、全参加患者(PFS中央値10.8カ月対5.4 カ月,ハザード比(HR)0.36;95%信頼区間(CI):0.30,0.45;p<0.0001)、HRD群(PFS中央値13.6カ月対5.4カ月,HR 0.32;95% CI:0.24,0.42;p<0.0001)およびtBRCA群(PFS中央値16.6カ月対5.4カ月,HR 0.23;95% CI:0.16,0.34;p<0.0001)で、プラセボ群と比較して、ランダムに割り付けられたルカパリブ群で統計学的に有意に増加したことが示された。

FDAは同時に、腫瘍検体におけるHRDの状態の判定のために、コンパニオン診断法(効果予測のための検査)FoundationFocusTM CDx BRCA LOHも承認した。

ARIEL3試験において、rucaparib群の20%以上で最も頻度が高い有害反応は、悪心、(無力症を含む)疲労、腹痛/腹部膨満感、発疹、味覚障害、貧血、ALT/AST値上昇、便秘、嘔吐、下痢、血小板減少症、上咽頭炎/上気道感染、口内炎、食欲不振、および好中球減少症であった。骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病が、rucaparib群372人中7人(1.9%)で、プラセボ群189人中1人(0.5%)で発症した。ルカパリブ群の15%とプラセボ群の2%で、有害反応により投薬が中止された。

ルカパリブの推奨投与量と用法は、食事の有無に関わらず600 mg(300 mg錠2錠)の1日2回経口服用である。

添付文書の全文は以下で閲覧可能: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2018/209115s003lbl.pdf.

FDAは本申請に優先審査を適用した。FDAの迅速承認プログラムは企業向けガイダンス:「重篤疾患のための迅速承認プログラム−医薬品および⽣物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に記載されている: http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

翻訳担当者 渡邊 岳

監修 野長瀬 祥兼 (腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院 腫瘍内科)

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