免疫療法薬+PARP阻害剤併用で卵巣がんの寛解率が上昇

ダナファーバーがん研究所

治療困難な卵巣がんを有する女性において、免疫療法剤とDNA修復阻害剤の併用は、いずれかの薬剤単独よりも有意に有効な可能性があるとダナファーバーがん研究所の研究者らが主導した第1/2相臨床試験で示された。この結果は、今週当地で開催される米国婦人科腫瘍学会(SGO)年次総会で、3月27日火曜日に発表される。

本臨床試験では、プラチナ化学療法耐性卵巣がん患者60人を対象に、免疫系T細胞上のチェックポイントタンパク質PD-1を標的とするペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と、損傷したがん細胞のDNA修復能力を妨げるPARP阻害剤ニラパリブの併用を検討した。研究者らは、この薬剤の併用により、患者の25%で完全奏効または部分奏効(卵巣腫瘍の完全または一部の縮小)がもたらされたことを見出した。この結果と比較して、PARP阻害剤単独で治療した同様の患者の奏効率は5%未満、ペムブロリズマブ単独で治療した卵巣がん患者では11%であった。

臨床試験責任医師によれば、試験参加者はその前に卵巣がんの治療を複数受けており、したがって特に治療困難な患者群に相当したという事実に照らし合わせると、結果は非常に優れているという。一部の参加者は過去に最多で5つの治療を受けており、半数を超える参加者は、がんへの血流のアクセスを遮断する薬剤であるベバシズマブ(商品名:アバスチン)による治療をすでに受けていた。

「これらの結果は、過去に複数の治療歴があり、かつプラチナ化学療法で奏効しない、したがって利用できる他の治療選択肢がほとんどない、という状況の患者に対して非常に有望です」と、本臨床試験を主導し、米国婦人科腫瘍学会年次総会で結果を発表することになっているダナファーバーのKonstantinopoulos医学博士は述べた。「参加者の中には、治療開始から18カ月以上経過しても治療の恩恵を受け続けている方もいます」。

ニラパリブなどのPARP阻害剤は、BRCA遺伝子に変異を有する卵巣がん患者を対象に米国食品医薬品局(FDA)によって承認されているが、PARP阻害剤単独では、卵巣がんがプラチナ化学療法耐性でBRCA変異のない患者の奏効率は5%未満である。今回の新しい臨床試験では、ニラパリブとペムブロリズマブの併用により、プラチナ耐性卵巣がんを有しBRCA変異のない患者の26%で寛解を達成した。また心強いことに、この薬剤の併用は、患者に重度のまたは予期せぬ副作用を引き起こさなかった。

Konstantinopoulos氏によれば、PARP阻害剤と免疫療法が相乗効果を発揮することを示唆するダナファーバーの研究者らによる基礎研究に従って、本試験でニラパリブとペムブロリズマブを併用したという。PARP阻害剤によってがん細胞がDNA損傷を蓄積できるようになり、これによりがん細胞は免疫系により発見されやすく、より脆弱になる。

今回の新しい臨床試験の結果は、他の固形がんと同様に卵巣がんにおいても、PARP阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用に関してさらなる研究段階へ押し進めると、Konstantinopoulos氏は言う。さらに、本臨床試験と関連した研究が、ダナファーバーSU2C(Stand Up To Cancer)卵巣がんドリームチームの支援を受けている。

翻訳担当者 坂下美保子

監修 喜多川 亮(東北医科薬科大学病院 産婦人科)

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