前治療を受けたBRCA陽性卵巣がんに対してPARP阻害剤rucaparibが有望

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PARP阻害剤rucaparibは、再発BRCA陽性卵巣がんが前治療後に進行した女性患者において有効であると思われる。これらの結果は、2015年米国臨床腫瘍学会年次総会(5月29日~6月2日、イリノイ州シカゴ)と、Journal of Clinical Oncology誌上で発表された。

毎年アメリカ合衆国では、およそ22,000人の女性が、卵巣がんと診断され、15,000人以上が命を奪われている。卵巣がんの治療として、一般的に手術や化学療法が用いられる。研究者らは、卵巣がんに罹患したすべての女性の予後を改善する新たな方法を研究し続けている。

rucaparibは、PARP阻害剤と呼ばれる分子標的薬剤である。PARP酵素は、化学療法によるDNA損傷の修復など、DNA修復に関与している。この酵素を抑制する薬剤は、がん細胞死、および化学療法への感受性増大に寄与している可能性がある。BRCA突然変異を有するがん(卵巣がんおよび乳がん)は特にPARP阻害剤に反応しやすいと考えられている。

第2相試験では、前治療後に再発したBRCA陽性卵巣がん患者(44歳-84歳)35人について、rucaparibを評価した。試験参加者は、それまでに2回から4回の化学療法レジメンを受けており、6カ月以上の無増悪生存期間を経験していた。試験では、患者は卵巣がんが進行するまで、21日間サイクルでrucaparibを1日600 mg投与された。

研究者らは、RECIST基準(固形がんの治療効果判定基準)に基づき、rucaparibに対する客観的奏効率(腫瘍が小さくなった患者の率)を決定した。半数以上の患者は、rucaparibによる治療に反応があり、RECIST全奏効率は65%であった。試験前の無増悪生存期間がもっとも長かった患者で、RECIST奏効率が88%と最高であった。

主な副作用は、吐き気、貧血、疲労感、体調不良、活力低下、体力減退であった。これらの副作用はおおむね軽度であり、副作用のために治療中止を余儀なくされた患者はいなかった。

この試験から、rucaparibは複数の前治療歴のあるBRCA陽性卵巣がん患者において有効であると考えられる。これは、治療歴のある卵巣がん女性患者、すなわち有効な治療選択肢がほとんどないことが多い患者にとって有望なニュースである。

参考文献:
Shapira-Frommer R, Oza AM, Domchek SM, et al. A phase II open-label, multicenter study of single-agent rucaparib in the treatment of patients with relapsed ovarian cancer and a deleterious BRCA mutation. Journal of Clinical Oncology. 33, 2015 (supplement; abstract 5513).


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翻訳担当者 荒木泉美

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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