個別化免疫療法が卵巣がんの再発を遅らせる

キャンサーコンサルタンツ

Vigil(商標名)として知られる新たな免疫療法が進行性卵巣がんの再発を遅らせるのに役立つ可能性がある。これらの研究結果は、2015年3月28日から31日、イリノイ州シカゴで開催された米国婦人科腫瘍学会(Women’s Cancer)で発表された。

アメリカがん協会(ACS)によると、卵巣がんによる死者数は女性生殖器系の他のがんよりも多い。その高い死亡率は、卵巣がんがすでに進行してから診断されることが多く、効果的な治療が難しいことに関連している。卵巣がんは初回治療後の再発率も非常に高い。

Vigilは患者自身の腫瘍細胞を、免疫系に有害物質と検知させ、攻撃させる抗原として利用する個別化免疫療法である。Vigilを毎月1回注入すると、身体の免疫系ががんを攻撃する。

Vigilの第2相臨床試験には31人の女性が参加した。参加した女性はステージIIIもしくはIVの卵巣がんとの診断をすでに受けていた。卵巣腫瘍を取り除く初回手術の間に、個別化免疫療法を行うための試料となる細胞を採取した。初回手術と標準化学療法後、20人の女性をVigil投与(4~12カ月間、毎月1回注入する)群、他の11人は標準的な治療を行う(免疫療法を行わない)群に割り付けた。

Vigil投与群の女性のほうが、卵巣がん再発までの時間が長いようであった。免疫療法を受けなかった女性は中央値1年余り(14.5カ月)でがんが再発した。一方、Vigilを投与した患者の多くは、14.5カ月の時点で再発はみられなかった。

Vigilは忍容性も良好であった。副作用は全般に軽く、注入部位反応を引き起こした。

これらの第2相臨床試験の結果に基づき、Vigil免疫療法は初回治療後の卵巣がんの再発を遅らせるとみられる。これらの結果から、卵巣がんに対するVigilのさらなる研究を行う意義が示唆されたとしている。

参考文献:
Oh J, Barve JM, Grosen EA, et al. Randomized phase II trial of maintenance autologous tumor cell vaccine (FANG™) following clinical complete response (cCR) in stage III/IV ovarian cancer: preliminary results. Paper Presented at: 2015 Annual Meeting on Women’s Cancer; March 28–31, 2015; Chicago, IL.


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翻訳担当者 宮本満里

監修 喜多川亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

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