ベバシズマブ+パクリタキセル+カルボプラチンの併用でプラチナ感受性再発卵巣がんの生存期間が延長

キャンサーコンサルタンツ

プラチナ感受性再発卵巣がんの治療において、パクリタキセル(タキソール)+カルボプラチンにベバシズマブ(アバスチン)を追加することで、生存期間が延長する。この研究結果は2015年3月28日から31日にかけてイリノイ州シカゴで開催された婦人科腫瘍学会で発表された。

米国では毎年およそ22,000人の女性が卵巣がんと診断され、15,000人以上がこれにより死亡している。卵巣がんの治療では一般には外科手術や化学療法が用いられる。標準的なプラチナベースの化学療法レジメンによる治療完遂後6カ月以降にがんが再発した女性は、プラチナ感受性がんとみなされる。研究者らは卵巣がんに罹患したすべての女性の予後を改善する新たな方法を研究し続けている。

国際研究者チームは2007年、プラチナ感受性の再発卵巣がんに対して次の2つの治療が全生存に与える影響を評価するため、第3相臨床試験を開始した。

・パクリタキセル+カルボプラチンにベバシズマブを上乗せし、その後ベバシズマブによる維持療法を行う群と、パクリタキセル+カルボプラチン単独療法を行う群とを比較する。

・がんを取り除くために二次外科手術を行い、その後上記レジメンのいずれかの化学療法を行う。

研究者らは、ベバシズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を行い、その後ベバシズマブ維持療法を行う群と、パクリタキセル+カルボプラチン単独群の無増悪生存期間と安全性も比較した。

2種の化学療法レジメンの生存転帰は2014年末に判定可能となった。研究に参加した674人の患者のうち、パクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブを投与した患者の方が全生存期間は長かった。しかしながら、パクリタキセル+カルボプラチンのみを投与した患者との全生存期間の差は統計的に有意ではなかった(治療の結果によるものでなく、偶然得られたものである可能性がある)。しかしながら、ベバシズマブを併用投与した患者は、無増悪生存期間が有意に延長した。

ベバシズマブの併用はさらなる副作用を引き起こしたが、それらはベバシズマブの副作用として知られているものと一致していた。副作用にはアレルギー、感染症、高血圧、消化管の合併症、それに骨髄異形成(正常な血球を十分に生産できない)がみられた。また、7人(患者の2%)が死亡しており、これは治療に関連する可能性がある。

本研究では外科手術の転帰はまだ確認されておらず、後日結果が発表される予定である。

参考文献:
Coleman RL, Brady MF, Herzog TJ, et al. A phase III randomized controlled clinical trial of carboplatin and paclitaxel alone or in combination with bevacizumab followed by bevacizumab and secondary cytoreductive surgery in platinum-sensitive, recurrent ovarian, peritoneal primary and fallopian. Paper Presented at: 2015 Annual Meeting on Women’s Cancer; March 28–31, 2015; Chicago, IL.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 宮本満里

監修 原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

卵巣がんに関連する記事

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性の画像

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性

ASCOの見解(引用)「このランダム化第3相臨床試験は、進行卵巣がんの手術を受ける患者が、原発巣からの転移がないと思われるリンパ節の追加切除を安全に回避できる可能性を示していま...
デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連の画像

デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連

ASCOの見解「本研究は、インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクに関連する潜在的リスクを強調している。このような製品が、特に頻繁に使用する人や20代や30代で使用...
【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下の画像

【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下

ASCOの見解(引用)「Women's Health Initiative研究の長期追跡調査から、閉経後の女性が結合型エストロゲン(CEE)を単独で服用した場合、プラセボを服用...
一部の進行卵巣がんにミルベツキシマブ ソラブタンシン承認、治療選択肢が拡大の画像

一部の進行卵巣がんにミルベツキシマブ ソラブタンシン承認、治療選択肢が拡大

進行卵巣がんの場合、当初はプラチナ製剤ベースの化学療法薬でうまく治療できるが、がんが再発することが多い。プラチナ製剤抵抗性の卵巣がんは治療が困難であることが証明されているが、最近、米国...