新たな抗体薬物複合体Rina-Sが進行卵巣がんに抗腫瘍効果を示す

ダナファーバーの婦人科腫瘍プログラムの腫瘍内科医であるElizabeth K. Lee医師は、葉酸受容体α(FRα)を標的とした被験薬で新たな抗体薬物複合体であるRinatabart sesutecan(Rina-S)単剤治療が、進行卵巣がん患者の用量拡大群において、予備的だが有望な抗腫瘍効果を示したことを報告する第1/2相臨床試験の結果を発表した。卵巣がんは、女性のがん関連死亡原因の第5位であり、ほとんどの患者は診断時にがんが進行している。

婦人科がん患者の治療とケアに従事する専門家のための最も重要な学術集会である婦人科腫瘍学会(SGO)年次総会において、RAINFOL-01試験のB1コホートから得られた結果が本日Lee医師により発表された。

この非盲検多施設共同第1/2相試験は、多くの治療を受けた進行卵巣がん患者42人のコホートでRina-Sを試験した。3週間ごとに2種類の投与量(100mg/m2または120mg/m2)のRina-Sうち1種類を患者に投与した。

中央値24週間の追跡調査後、低用量を投与した患者の22.7%、高用量を投与した患者の55.6%で奏効が認められ、高用量群では2例の完全奏効が認められた。副作用は血球数の減少と胃腸障害であった。この結果は、Rina-S単剤120mg/m2のさらなる試験を後押しするものであり、第2相試験(RAINFOL-OV1)および無作為化第3相試験(RAINFOL-OV2/GOG-3107、NCT06619236)においてプラチナ製剤抵抗性卵巣がん患者の登録が進行中である。

「葉酸受容体αを標的とした新たな抗体薬物複合体であるRina-Sは、葉酸受容体αの発現レベルを問わず、卵巣がん患者において有望な効果を示しました。」とLee医師は述べた。「本日婦人科腫瘍学会で発表したこれらの結果は、卵巣がんにおけるRina-Sのさらなる試験を後押しするものです」。

RAINFOL-01試験は、パートAの用量漸増群、パートBの腫瘍特異的単剤療法用量拡大群、パートCのプラチナ製剤抵抗性卵巣がん(PROC)群、パートDの併用療法群の複数のパートで構成されている。

本試験のパートBにはB1コホートが含まれる。本試験のパートBの初期の結果は、欧州臨床腫瘍学会総会2024(ESMO)のミニ口頭セッションでLee医師により発表された。

本試験はGenmab A/S社から資金提供を受けた。

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 記事担当者 生田亜以子
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  • 原文掲載日 2025/3/17

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