デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連
ASCOの見解
「本研究は、インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクに関連する潜在的リスクを強調している。このような製品が、特に頻繁に使用する人や20代や30代で使用している人において、卵巣がんのリスク上昇の一因となる可能性を示唆する文献が増えつつある中、今回のエビデンスがさらに追加された。」
--Fumiko Chino医師(ASCOエキスパート、スローンケタリング記念がんセンター放射線腫瘍医)
目的 | インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクやビデの使用と、卵巣がん、乳がん、子宮がんなどのホルモン関連がんのリスクとの関連を、想起バイアスや曝露の誤分類などの潜在的バイアスを補正して検討する。 |
対象者 | Sister Study集団の女性50,884人を対象とし、対象者全員の姉妹は乳がんと診断されており、ホルモン関連がんの遺伝的素因に関するユニークな視点を提供している。 |
主な結果 | デリケートゾーン用タルクの使用は、潜在的な報告バイアスや誤分類について調整した後でも、複数のシナリオにおいて卵巣がんリスクと正の関連があることが判明した。この関連は、タルクを頻繁に使用する女性、または特にホルモン変化や生殖活動の著しい時期に使用する女性で特に強かった。 |
意義 | これらの知見は、インティメイトケア製品の安全性に関して現在進んでいる議論に重要な示唆を与えるものであり、さらなる研究とこれらの製品の安全性に関する再評価の必要性を強調するものである。 |
本日Journal of Clinical Oncology誌に発表された最新研究は、デリケートゾーン用タルクの使用が卵巣がんのリスク上昇と関連しているという強力な証拠を示すものである。Sister Study集団解析の一部である今回の広範な解析では、インティメイトケア用品とがんとの関連を再検討し、先行研究に影響を与えていた可能性のあるバイアスに対して厳密な調整を組み込んでいる。
「曝露歴の評価での課題、後方視的データに特有のバイアスがあるにもかかわらず、今回の知見は、デリケートゾーン用タルクの使用と卵巣がんとの一貫した関連を示す強固なものです」と、筆頭著者Katie M. O'Brien医学博士(国立環境保健科学研究所、疫学部門研究員)は言う。「本研究は、詳細な生涯曝露歴とSister Studyの独自デザインを活用し、デリケートゾーン用タルクの長期的かつ高頻度使用と卵巣がんとの潜在的な関連を支持する、信頼性の高い証拠を示しています」。
本研究は、報告の潜在的エラーを評価するために定量的バイアス解析を利用し、がんに罹患していなかった女性集団を対象として、デリケートゾーン用タルクやビデのようなインティメイトケア製品の使用について追跡し、データを解析した。
主な知見
デリケートゾーン用タルクの使用と卵巣がんとの間には根強い正の関連があり、高頻度・長期使用者において最もリスクが高かった。
デリケートゾーン用タルクやビデの使用と乳がんや子宮がんとの間に有意な関連は認められなかった。
ビデ使用には卵巣がんとの関連の可能性があり、さらなる調査が必要である。
次のステップ
研究者らは、がんリスクに影響を及ぼす可能性のあるインティメイトケア製品に含まれる特定の化学物質について引き続き調査することを提唱し、異なる集団でこれらの知見を再現するためのさらなる研究を促している。
- 監訳 勝俣範之(腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)
- 記事担当者 山田登志子
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- 原文掲載日 2024/05/15
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