◆治療が困難な一般的な4癌種に対する有望な分子標的薬
米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会では、卵巣癌、肺癌、甲状腺癌および白血病における主要な進歩に注目
第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で、進行性の卵巣癌、肺癌、甲状腺癌、および慢性リンパ球性白血病に対する4つの試験研究で、分子標的薬の肯定的な結果が注目された。中期および後期臨床試験の知見は、再発をきたした患者や利用できる治療に抵抗性を示す患者に対して、癌の進行を遅らせ生存期間を延ばす新たな治療法を示唆している。
「癌の再発や治療抵抗性は、癌治療において常に最も手ごわい課題のひとつです」と、記者会見のモデレーターを務め、米国内科学会名誉上級会員(FACP)、ASCO専門家であり、Helen F. Graham がんセンター(デラウェア州ニューアーク)の腫瘍内科医のGregory Masters医師は述べた。「ゲノム医療が、癌細胞内で生じていることを標的にする新たな治療法を明らかにすることによって、これらの課題を克服する手助けとなるのは喜ばしいことです。本日のハイライトであるこの研究は、高齢の白血病患者によくみられる、これまで治療の選択がなかった患者や、現在の薬剤による副作用が限られた利益を上回る患者にとって、新たな治療選択肢となるでしょう」
【主な試験結果】
・ラムシルマブと標準治療のドセタキセルを併用する二次治療が進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の生存期間を延長:この第3相臨床試験では、進行した非小細胞肺癌患者に対する二次治療において、生存上の利益の向上を10年ぶりに達成することになる。これは、米国において毎年6万人の患者の治療に影響をもたらすと考えられる。
・イブルチニブが、抵抗性または再発性の慢性リンパ球性白血病(CLL)の患者において、高い活性を示し、がんの進行を有意に遅らせて生存期間を延長:RESONATE試験の初期結果は、抵抗性または再発性のCLL患者において生存期間が延長する初めての経口投与薬であることを示している。イブルチニブは良好な忍容性を示し、よくみられるこの成人の白血病、特に従来の化学療法にしばしば抵抗性を示す高齢の患者に対する新たな重要選択肢として確認された。
・新規分子標的薬レンバチニブは、放射性ヨウ素抵抗性の進行分化型甲状腺癌患者において高い奏効率をもたらし、癌の進行を遅らせる:レンバチニブを投与した患者の約3分の2が完解奏効を示し、癌の進行はプラセボより14.7カ月遅かった。
・新規分子標的薬セディラニブ+オラパリブの併用療法は再発性卵巣癌患者の無増悪生存期間を有意に延長させる:PARP阻害剤オラパリブと抗血管新生薬セディラニブの併用療法はオラパリブ単剤投与と比べ、再発性卵巣癌の進行を8カ月以上遅らせる。これら2種の標的薬の併用は初めてであり、卵巣癌の重要な治療ギャップを埋めることが可能である。
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