ベバシズマブと標準化学療法の併用によりプラチナ耐性、再発卵巣癌の無増悪生存期間が改善

キャンサーコンサルタンツ

標準化学療法にベバシズマブ(アバスチン)を加えると、プラチナ耐性の再発卵巣癌の女性の無増悪生存期間と全奏効率が有意に改善されるという試験結果が、Journal of Clinical Oncology誌の電子版にいち早く発表された

ベバシズマブは、VEGFと呼ばれるタンパク質を遮断する分子標的療法である。VEGFは新しい血管の発達に重要な役割を果たしている。VEGFを遮断することでベバシズマブは癌から栄養と酸素を奪って癌の成長を阻害する。

AURELIA試験は、上皮性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌の患者361人を対象としたランダム化第3相試験であり、これらの患者は全員、プラチナ治療の最終投与から6カ月以内に癌の進行がみられた。患者は、ベバシズマブと化学療法の併用または化学療法単独の治療に無作為に割り付けられた。化学療法は、プラチナ耐性癌で通常使われる3種の標準化学療法薬剤(パクリタキセル、トポテカン、またはリポソームペグ化ドキソルビシン)のうちひとつが選択された。患者は、癌の進行がみられたり、許容できない毒性が認められたり、または治療同意を撤回するまで治療を受け続けた。化学療法単独群で癌の進行がみられた場合、ベバシズマブ単剤投与のクロスオーバーが許容された。

主要評価項目は、RECIST(固形癌に対する治療効果判定基準)による無増悪生存期間(PFS)であった。また、副次的評価項目は、全奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性、および患者報告による治療印象であった。

追跡期間の中央値は、ベバシズマブと化学療法併用群で13カ月、化学療法単独群で13.9カ月であった。RECIST基準に基づく無増悪生存期間中央値は、ベバシズマブ+化学療法併用群で6.7カ月、化学療法単独群では3.4カ月であった。RECIST基準に基づく全奏効率はベバシズマブ+化学療法併用群で27.3%、化学療法単独群では11.8%であった。

最終の全生存解析に対するデータカットオフ時に、化学療法単独群の患者の40%が、進行後にベバシズマブ単剤投与にクロスオーバーしていた。全生存期間中央値は、ベバシズマブ+化学療法併用群で16.6カ月、化学療法単独群で13.3カ月であり、統計的な有意差はないとみなされた。

Grade2以上の高血圧とタンパク尿はベバシズマブ併用群に多くみられた。消化管穿孔はベバシズマブ併用患者の2.2%に起きた。

研究者は、ベバシズマブを標準化学療法と併用すると、プラチナ耐性の再発卵巣癌の女性で、無増悪生存期間と全奏効率が有意に改善すると結論づけた。

参考文献
Pujade-Lauraine E, Hilpert F, Weber B, et al: Bevacizumab Combined With Chemotherapy for Platinum-Resistant Recurrent Ovarian Cancer: The AURELIA Open-Label Randomized Phase III Trial. Journal of Clinical Oncology. Published early online March 17, 2014. doi: 10.1200/JCO.2013.51.


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翻訳担当者 大木勝弥

監修 喜多川 亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

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