アスピリンの日常的使用は卵巣癌発症リスクを低下させる

キャンサーコンサルタンツ
2010年2月

ミネソタ大学の研究者は、アスピリンを日常的に服用している女性はアスピリンを使用していない女性に比べて卵巣癌発症リスクが低いと報告している。この研究の詳細は2010年2月8日発行のCancer Epidemiology Biomarkers and Prevention誌で発表された。[pagebreak]非ステロイド抗炎症薬(NSAID)とアスピリンは癌の予防に大きな役割を果たすであろうというエビデンスが蓄積してきている。NSAIDの常用により、皮膚癌、大腸癌、胃癌、前立腺癌の発生率が減少している。アスピリンの常用により、大腸腺腫、大腸癌、胃癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、膵臓癌の発生率が減少することも示されている。

今回の研究では、Iowa Women’s Health Study(IWHS)においてアスピリンとNSAIDが卵巣癌と子宮内膜癌の発生率に及ぼした効果を評価した。本研究は1992年にIWHSに登録した58歳から76歳までの女性20,000人を対象とした。期間中に311人が卵巣癌を、167人が子宮内膜癌を発症した。

  • アスピリンを週2回未満服用した女性は、アスピリンを使用していない女性に比べて卵巣癌発症リスクが17%低かった。
  • アスピリンを週2−5回服用した女性は、アスピリンを使用していない女性に比べて卵巣癌発症リスクが23%低かった。
  • アスピリンを週6回以上服用した女性は、アスピリンを使用していない女性に比べて卵巣癌発症リスクが39%低かった。
  • アスピリン以外のNSAIDの使用は卵巣癌の発生率に影響を及ぼさなかった。
  • アスピリンとアスピリン以外のNSAIDは子宮内膜癌の発生率に影響を及ぼさなかった。

コメント:このデータによってアスピリンの日常的使用で予防されるであろう癌のリストに卵巣癌が加わることになる。

参考文献:
[1] Prizment AE, Folsom AR, and Anderson KE. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs and risk for ovarian and endometrial cancers in the Iowa Woman’s Study. Cancer Epidemiology Biomarkers and Prevention. 2010;19:435-442.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 鈴木 久美子

監修 橋本 仁(獣医学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

卵巣がんに関連する記事

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性の画像

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性

ASCOの見解(引用)「このランダム化第3相臨床試験は、進行卵巣がんの手術を受ける患者が、原発巣からの転移がないと思われるリンパ節の追加切除を安全に回避できる可能性を示していま...
デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連の画像

デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連

ASCOの見解「本研究は、インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクに関連する潜在的リスクを強調している。このような製品が、特に頻繁に使用する人や20代や30代で使用...
【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下の画像

【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下

ASCOの見解(引用)「Women's Health Initiative研究の長期追跡調査から、閉経後の女性が結合型エストロゲン(CEE)を単独で服用した場合、プラセボを服用...
一部の進行卵巣がんにミルベツキシマブ ソラブタンシン承認、治療選択肢が拡大の画像

一部の進行卵巣がんにミルベツキシマブ ソラブタンシン承認、治療選択肢が拡大

進行卵巣がんの場合、当初はプラチナ製剤ベースの化学療法薬でうまく治療できるが、がんが再発することが多い。プラチナ製剤抵抗性の卵巣がんは治療が困難であることが証明されているが、最近、米国...