アバスチン(ベバシズマブ)は卵巣癌に有効:追加的エビデンス

キャンサーコンサルタンツ
2006年8月

Gynecologic Oncology誌掲載の最近の論文2報によると、アバスチン(ベバシズマブ)は卵巣癌患者に有意な治療効果を示すことが確認されている。

アバスチンは、血管内皮増殖因子(VEGF)に対する組み換えヒトモノクローナル抗体である。VEGFには、腫瘍の血管新生における重要な作用があるとされているため、VEGFの活性を抑制することにより抗腫瘍効果が得られると考えられる。アバスチンは、臨床試験で特に他の薬剤との併用時に、さまざまな腫瘍に対して効果を示してきた。しかし卵巣癌治療に関するAvastin単剤投与や他剤との併用投与の報告は2つしかなく、対象患者は合わせても15例に満たなかった。

カリフォルニア大学アーバイン校の研究者らは、再発性進行卵巣癌患者32人をアバスチン単剤(n=23)または他剤との併用で治療した結果について報告している[1]。アバスチン投与は3週間に1回を1サイクルとして平均6サイクル行われた。アバスチン単剤時の奏効率は16%、病勢安定(SD)を示したのは62%であった。生存期間中央値は7ヶ月であった。アバスチンは複数のレジメンで奏効が得られなかった卵巣癌患者に対し非常に有益であった、と著者らは述べている。

アラバマ大研究者らは、卵巣癌による腹水症患者4人にアバスチンを投与したときの治療効果について報告している[2] 。著者らは、アバスチン治療開始後穿刺の必要は無かったと報告し、アバスチンはこの難治性卵巣癌患者らの腹水生成を抑制したと結論づけた。

コメント

上記臨床試験および過去の文献より、アバスチンは卵巣癌患者治療に効果のある薬剤であり、今後早期卵巣癌患者を対象にした臨床試験を実施する必要があることが示唆される。


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 Chachan

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

卵巣がんに関連する記事

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性の画像

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性

ASCOの見解(引用)「このランダム化第3相臨床試験は、進行卵巣がんの手術を受ける患者が、原発巣からの転移がないと思われるリンパ節の追加切除を安全に回避できる可能性を示していま...
デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連の画像

デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連

ASCOの見解「本研究は、インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクに関連する潜在的リスクを強調している。このような製品が、特に頻繁に使用する人や20代や30代で使用...
【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下の画像

【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下

ASCOの見解(引用)「Women's Health Initiative研究の長期追跡調査から、閉経後の女性が結合型エストロゲン(CEE)を単独で服用した場合、プラセボを服用...
一部の進行卵巣がんにミルベツキシマブ ソラブタンシン承認、治療選択肢が拡大の画像

一部の進行卵巣がんにミルベツキシマブ ソラブタンシン承認、治療選択肢が拡大

進行卵巣がんの場合、当初はプラチナ製剤ベースの化学療法薬でうまく治療できるが、がんが再発することが多い。プラチナ製剤抵抗性の卵巣がんは治療が困難であることが証明されているが、最近、米国...