Catumaxomabの腹腔内投与が卵巣癌による腹水を軽減する
キャンサーコンサルタンツ
2007年8月
難治性卵巣癌による悪性腹水症の女性へのモノクローナル抗体、catumaxomab (Removab)の腹腔内投与における有意な作用を、ドイツの研究者らが報告した。第1/2相試験の詳細は Clinical Cancer Researchの2007年7月号に掲載された。
Catumaxomab (抗-EpcAM x 抗-CD-3) は第1/2相試験中のラット-マウスハイブリッドモノクローナル抗体である。このモノクロナール抗体は、CD3抗原と、上皮細胞接着分子のEpCamに結合する。この結合によってTリンパ球が癌細胞に結びつく。Catumaxomab腹腔内投与は2005年度の米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会で発表された消化管癌による癌性腹膜炎17例による第1/2相試験ですでに評価がなされている[2]。腹腔洗浄を反復経験した8名の患者のうち、7名で、有意な、もしくは完全な奏効が報告された。この報告の時点で、17名の患者のうち11名が生存していた。毒性は忍容性良好であるとされた。難治性非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、catumaxomab静脈注射の第1相試験が最近報告された[3]。この試験における奏効データは公開されなかった。ドイツの研究者らは、試験管内で、catumaxomabと培養した末梢血単核球を使用した、養子免疫療法の試験も報告した[4]。 この試験では4名の難治性頭頸部癌患者が養子免疫療法を受け、1名は疾患の安定を実現し、もう1名は27ヶ月間続く完全奏効を達成した。
今回の新たな試験では23名の難治性卵巣癌によって繰り返される腹水症の女性に対するcatumaxomabの腹腔内投与の評価がなされた。患者は9-13日間で4-5回、catumaxomabの腹腔内投与を受けた。治療の結果、全ての症例において、腹水の生成が減少した。23名中22名は前回の穿刺から、37日目の試験終了までの間に穿刺を必要としなかった。癌細胞死の観測は最大5 log reductionを示した。著者らはcatumaxomabが、卵巣癌による腹水症の治療に効果的で容認可能な安全性プロフィールを有すると結論付けた。
コメント:
これらのデータは消化管癌と卵巣癌のcatumaxomabによる腹腔内治療が効果的であることを示唆する。腹腔内への投与は、静脈内投与試験で観察された、サイトカイン放出に関連する毒性の一部を軽減する。これはcatumaxomabによる末梢決単核球の培養と同じ原理である。
参考文献::[1] Burges A, Wimberger P, Kumper C, et al. Effective relief of malignant ascites in patients with advanced ovarian cancer by a trifunctional anti-EpCAM x anti-CD3 antibody. Clinical Cancer Research.
[2] Stroehelein MA, Lordick F, Ruettinger, et al. Treatment of peritoneal carcinomatosis due to GI-tract cancer by the intraperitoneal application of the trifunctional anticody catumaxomab (anti-EpcAM): Results of a phase I/II trial. Journal of Clinical Oncology. 2005; 23:2529.
[3] Sabastian M, Passlicit B, Friccius-Quecke H, et al. Treatment of non-small cell lung cancer patients with the trifunctional monoclonal antibody catumaxomab (anti-EpCAM x anti-CD3): a Phase I study. Cancer Immunology and Immunotherapy. 2007; 56:1637-1644.
[4] Riechelmann H, Wiesneth M, Schauweker P, et al. Adoptive therapy of head and neck squamous cell carcinoma with antibody coated immune cells: a pilot clinical trial. Cancer Immunology and Immunotherapy. 2007; 56:1397-1406.
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