アキシチニブ+免疫療法薬アベルマブ、子宮体がんに有望な結果

腎臓がん治療に使用される2剤の組み合わせが、治療が困難な型の子宮体がん(子宮内膜がん)患者を対象とした臨床試験で有望であることが、本日サンディエゴで開催される2024年婦人科腫瘍学会女性がん年次総会で、ダナファーバーがん研究所の研究者らにより報告される。

このアベルマブ(販売名:バベンチオ)とアキシチニブ(販売名:インライタ)という薬剤は、子宮体がん細胞の異なる脆弱性を利用する。アベルマブは免疫チェックポイント阻害薬であり、腫瘍細胞を免疫系の攻撃にさらす。また、アキシチニブは腫瘍の血管の成長を阻害して、腫瘍細胞の増殖を抑制する。両剤は共に進行腎細胞がん患者の一次治療薬として承認されている。

本試験は、Elizabeth Lee医師(腫瘍内科医、ダナファーバー婦人科腫瘍プログラム)が主導し、治験分担医師らは、ミスマッチ修復能が保たれている、つまり腫瘍細胞がDNAのスペルミスを検出し修復できる再発または持続性の子宮体がん患者35人に、この併用療法を投与した。すべての患者は少なくとも1レジメンの化学療法を受けていた。

評価可能な患者35人中14人が奏効(がんの範囲が縮小)し、その中の2人が治療により完全奏効した。奏効は子宮体がんの全サブタイプ(癌肉腫、明細胞、類内膜線、漿液性)および全分子サブタイプの患者で認められた。

無増悪生存期間中央値、つまりがんが悪化するまでの生存期間は7カ月であった。治療を受けてから6カ月後、14人の患者はがんが進行せずに生存していた。

アベルマブ、アキシチニブの組み合わせは、腫瘍細胞をより見やすく、免疫系に脆弱になるように設計されている。HIF1αタンパク質およびVEGFタンパク質は、腫瘍の血管を成長させると同時に、免疫系のレーダーに探知させないようにすることが研究で示されていた。VEGF阻害薬レンバチニブ(販売名:レンビマ)、および免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)による初期の組み合わせは子宮体がんに有効であった。進行腎細胞がん患者に対するアベルマブおよびアキシチニブの治療経験から、ミスマッチ修復能を保つ、再発または持続性子宮体がん患者において、この2剤の併用はレンバチニブとペムブロリズマブよりも有効であり、毒性も低い可能性が示唆された。

  • 監訳 勝俣範之(腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)
  • 翻訳担当者 佐藤美奈子
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  • 原文掲載日 2024/03/19

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