プロベンジに関する詳細な結果の報告
キャンサーコンサルタンツ
2009年5月
試験的な免疫治療薬であるプロベンジ(sipuleucel-T)による治療の第3相試験IMPACTの結果によると、アンドロゲン非依存性前立腺癌患者の全生存期間を4.1カ月改善することが明らかにされた。この情報は、2009年の米国泌尿器学会の年次総会で発表された。
プロベンジは、前立腺性酸ホスファターゼ(PAP)抗原を標的とした能動的細胞免疫療法である。PAP抗原は、前立腺癌患者の約95%に認められる。前立腺癌患者を対象とした第1相試験および第2相試験の結果によれば、プロベンジを用いた活性化された細胞療法によるアプローチは、安全性で、臨床的に有用である可能性がある。
過去の2試験(D9901、D9902A)は、計225人の患者を対象に行われた。患者はプロベンジまたはプラセボの投与に無作為に割付けられた。プラセボを投与し癌が進行した患者には、プロベンジが投与された。当初の解析では、プロベンジ投与に割付けられ、病勢進行後にタキソテールを投与された患者は、プラセボを投与した患者に比べ死亡リスクが47%低下する結果が得られた。その後の解析では、無症候性の転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌の患者にプロベンジを投与し、病勢の進行後にタキソテール(ドセタキセル)を投与した場合、プロベンジが生存率を改善することが示唆された。しかし、このデータは、FDAを納得させるには至らず、FDA諮問委員会が承認を勧告したものの、プロベンジは、前立腺癌治療薬としてFDAの承認を得ていない。
転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者におけるプロベンジの有効性をさらに評価するために、IMPACT(IMmunotherapy for Prostate AdenoCarcinoma Treatment)試験として知られる第3相試験が実施された。この試験では、男性患者512人が登録され、プロベンジまたはプラセボが投与された。
・プロベンジを投与された患者の全生存期間中央値が25.8カ月であったのに対してプラセボ群では21.7カ月であった。
・プロベンジを投与された患者の3年生存率は31.7%であったのに対してプラセボ群では23.0%であった。
・プロベンジは有意に病勢進行を遅らせることはなかった。
・プロベンジの副作用には悪寒・発熱と頭痛があった。これらの副作用の多くは低グレードであり、持続時間も短かった。
これらの試験結果は、プロベンジが転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者の全生存率を改善することを示唆するものであった。
コメント:今回の試験結果により、FDAの承認が得られるものと予測される。
参考文献:Dendreonプレスリリース。AUAで発表されたデータによると、重要な第3相試験であるIMPACTにおいて、プロベンジが進行性前立腺癌患者の生存を有意に延長することを示した。このプレスリリースは以下のURLから入手可能である。2009/4/28。http://investor.dendreon.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=380042
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監修 榎本 裕(泌尿器科)
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