プロベンジが進行性前立腺癌において生存期間を改善

キャンサーコンサルタンツ
2009年5月

転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者における、探索的免疫療法であるプロベンジ(sipuleucel-T)を使用した新しい第3相試験の結果、生存率の向上が認められた。この情報はDendreon社からの新聞発表にて2009年4月14日に報告されている。より詳細な結果については米国泌尿器科学会の年次総会で今月後半に発表される予定である。

プロベンジは前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)抗原を標的とする活性免疫細胞製剤である。PAP抗原は前立腺癌全体の約95%に存在する。すでに発表済みの前立腺癌患者を対象としたプロベンジの第1相および第2相試験では、プロベンジによる活性化免疫細胞療法が安全かつ潜在的に有益なアプローチであることを示している。米国食品医薬品局(FDA)顧問グループがプロベンジの承認を推奨したが、まだ承認されていない。

先行した2つの臨床試験(D9901とD9902A)は、合計225人の患者を対象として行われた。患者を無作為に割り付け、Provengeまたはプラセボを投与した。プラセボ群の患者は病気の進行後Provengeを投与された。最初の解析では、プロベンジ群の患者は、プラセボ群と比較して死亡の危険性が47%減少した。 また、その後の解析において、進行時にタキソテール®(ドセタキセル)を投与したプロベンジ群において無症候性転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者の生存期間をプロベンジが改善したことを示唆した。しかしFDA諮問委員会が承認したものの、このデータではFDAの同意が得られず、前立腺癌の治療にプロベンジを承認できなかった。

転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者の中でプロベンジの効能をさらに評価するため、研究者らはIMPACT(IMmunotherapy for Prostate AdenoCarcinoma Treatment)という第3相臨床試験を実施した。 この試験には512人の患者が参加した。研究対象の患者はプロベンジまたはプラセボのいずれかで治療を受けた。

臨床試験の結果、プロベンジは全生存期間を改善したことが判明した。 改善の程度についての詳細情報は今月後半に大規模な学会で発表される予定である。プロベンジの最も一般的な副作用は、悪寒、発熱、頭痛、疲れ、息切れ、嘔吐、振戦である。

プロベンジを開発した企業であるDendreon社はFDAに対し今回の臨床試験の結果を提出する予定である。プロベンジはFDAよりまだ承認されていない。

コメント: この試験の結果により、FDAの承認が得られる見込みである。無治療と比較してプロベンジが病気の進行までの時間を延長できるということは間違いないようである。しかし、改善された生存期間については、対照患者が既に受けている種々の治療が効果的で、また多岐にわたるため、実証が困難である。毒性が比較的少ないことは、他の治療法においても明らかにプロベンジの非常に有益な点である。

参考文献:Dendreon Press Release. PROVENGE Significantly Prolongs Survival in Men with Advanced Prostate Cancer in Pivotal Phase 3 IMPACT Study. Available at: http://investor.dendreon.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=376922. Accessed April 14, 2009.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

監修 武田裕里子(薬学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明の画像

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明

デューク大学医学部デューク大学医療センター最近、前立腺がんの治療において矛盾した事実が明らかになった: テストステロンの産生を阻害することで、病気の初期段階では腫瘍の成長が止ま...
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性の画像

一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性

ジョンズホプキンス大学抗がん剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)は、BRCA2などの遺伝子に変異を有する患者に対し、男性ホルモン療法を併用せずに、生化学的再発をきたした前立腺がんの治療に...
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持の画像

転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持

第3相PSMAforeの追跡研究研究概要表題タキサン未投与の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性とARPI変更との比較:ラ...
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望の画像

転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望

低温プローブを用いる治験的治療では、前立腺がん細胞の一部を死滅させ、腫瘍特異的ネオアンチゲン(※がん細胞特有の遺伝子変異などによって新たに生じた抗原)を放出させ免疫反応を促進する。...