2011年度泌尿生殖器癌シンポジウムで、前立腺癌の管理と治療における進展が強調された研究

初回PSA値が低い男性で前立腺癌による死亡リスクが低下することがスクリーニング研究で示された。ロボット支援による前立腺癌手術は経験を積んだ専門医が必要である。デュタステリドは早期前立腺癌の成長を遅らせる一助となる。

バージニア州アレクサンドリア発-泌尿生殖器癌のスクリーニングおよび治療に関する新たな調査結果が、2011年2月17日から19日にかけてフロリダ州オーランドのOrlando World Marriotで開催される泌尿生殖器癌第4回年次シンポジウムに先駆けて本日発表された。
これらの調査結果はメディア向けのPresscast(インターネット生放送による記者会見)のハイライトであった。

” 大規模スクリーニング研究によると、初回PSA値が低い男性で前立腺癌による死亡リスクが低くなることが示された: 中年および初老男性を対象に行った大規模スクリーニング研究では、生検を行う必要があるかをどうかを決定する上での初回の前立腺特異抗原(PSA)値の適切な最低カットオフレベルは3.0ng/mlであることが示された。検査で初回PSA値が3.0以下であった男性の中で前立腺癌を発症し、それによって死亡した人がほとんどいなかったため、この調査結果はリスクの高い男性により焦点を当てた検査を行うことを容易にする可能性がある。

” ロボット支援による前立腺癌手術を習熟するには専門医が経験を積まなければならない: ロボット支援による腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術(RALP)による手術の外科的習熟曲線を見極めるために行われた試験で、約3800件の手技の結果をレトロスペクティブ解析したところ、外科医がRALPの手技を習熟し癌が残らないように前立腺をくまなく摘出できるようになるためには1600件以上の前立腺癌手術を行わなければならないことが示された。

” デュタステリドは早期前立腺癌の成長を遅らせる役割を果たす。新たな試験によると、前立腺肥大の治療で一般的に使用される薬剤であるデュタステリド(アボダート)も前立腺癌の「積極的監視」に参加した男性の早期前立腺癌の成長を遅らせる役割を果たすことが示された。
「前立腺癌の疑いのため生検を受けるかどうかを判断するのにPSA値を使用することは時には論争の元となる一方で、本日発表された試験の結果では医療従事者が治療に関する決定を下す一助となるPSA値における新たな知見がもたされました」とUS Oncology誌治療開発委員会議長・メディカルディレクターで本日のpresscastの司会を行ったNicholas J. Vogelzang医師は述べた。「本日発表されたその他の重要な試験では既に一般的に使用されている前立腺治療薬が癌の成長を遅らせる可能性があることが示されました。そして、別の研究では時に困難な外科手技を実行するのに必要な専門知識を評価しています。」と同氏は述べた。
泌尿生殖器癌には前立腺、腎臓、膀胱および精巣、そしてあまり多くないが陰茎、尿管その他泌尿器の癌が含まれる。2010年には米国で358,000人以上が泌尿生殖器癌と診断され、61,000人以上がこれらの疾患で死亡した。最も一般的な泌尿生殖器癌は前立腺癌で、2010年に米国で約218,000人が診断を受け32,000人以上が死亡した。

泌尿生殖器癌シンポジウムは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、米国放射線腫瘍学会(ASTRO)および米国泌尿器腫瘍学会(SUO)による共同後援で行われた。

メディア向け情報はwww.asco.org/GUpresskit11を参照のこと。

翻訳担当者 西川百代

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科)

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