2021年ASCO年次総会(6月4-8日)注目のトップ演題

2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会の公式プレス向けプログラムで、前立腺がん、乳がん、肺がん、腎がんの治療、検診、予防、治療へのアクセス、免疫治療、プレシジョン医療などの進歩が紹介される。プレス向けプログラムに掲載される研究は、年次総会で発表された4,900以上のアブストラクトの中から選ばれる。

6月4日から8日までオンライン開催される2021年ASCO年次総会では、腫瘍科領域では最大規模かつ多職種の参加者を集客し、最先端の研究発表を中継およびオンデマンドで提供する。今年の総会のテーマは「公平性:すべての患者に、毎日、どこでも(Equity: Every Patient. Every Day. Everywhere.)」であり、すべての患者が最新のがん治療や質の高いがん医療にアクセスし、その恩恵を受けられるようにする方法を議論する。

2,450本以上のアブストラクトが発表され、さらに2,450本のアブストラクトがオンラインで公開される。ほとんどのアブストラクトは、5月19日(水)午後5時(米国東部時間)にASCOのMeeting Libraryで公開される。プレナリーセッション(*サイト注:プレナリーセッションとは、総会で最も注目される発表)演題を含む当日発表演題(Late-Breaking Abstracts:LBA)は、6月3日にオンラインで公開される。

報道解禁前プレスキャスト :5月14日

5月14日、以下の研究に焦点を当てた認定報道関係者向けの非公開プレスキャスト(オンライン記者会見)が行われる(報道解禁は2021年5月19日)。

・米国における州のメディケイド(米国の公的保険)の所得制限とがん診断後の長期生存率との関連を評価した研究の結果。(アブストラクト6512)

・アフリカ系アメリカ人の若年層における前立腺特異抗原(PSA)検診の増加と前立腺がんの転帰との関連を調べた研究の結果。(アブストラクト 5004)

・米国における過去15年間のHPV関連がんに対する検診とワクチン接種の効果を調べた研究。(アブストラクト 107)

・切除された非小細胞肺がんにおける術後補助化学療法後のアテゾリズマブと支持療法(best supportive care)を比較評価した第3相グローバルIMpower010試験の結果。(アブストラクト 8500)

・進行メラノーマ患者の一次治療における免疫療法薬2種(relatlimab[レラトリマブ]+ニボルマブ)併用療法とニボルマブ単剤を比較評価したRELATIVITY-047の第3相試験の主要結果。(アブストラクト 9503)

報道解禁前プレスキャスト: 5月28日

5月28日、以下の研究に焦点を当てた報道関係者向け非公開プレスキャストが行われる。

生殖細胞系列のBRCA1およびBRCA2遺伝子変異があり高リスクのHER2陰性原発乳がん患者で、術前または術後補助化学療法を完了した患者を対象に、術後補助療法としてオラパリブ使用を検証したランダム化プラセボ対照第3相OlympiA試験の結果(アブストラクトLBA1、プレナリー)

転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象としたルテチウム-177-PSMA-617の第3相VISION試験の結果。(アブストラクトLBA4、プレナリー)

再発・転移上咽頭がんの一次治療として、トリパリマブ+ゲムシタビン+シスプラチンとプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチンを比較評価したランダム化試験JUPITER-02の結果。(アブストラクトLBA2、プレナリー)

腎細胞がん患者の手術後におけるペムブロリズマブとプラセボを比較評価したランダム化二重盲検第3相KEYNOTE-564試験の結果。(アブストラクトLBA5、プレナリー)

・進行食道扁平上皮がんの一次治療として、ニボルマブ+イピリムマブまたはニボルマブ+化学療法と、化学療法単独を評価したCheckMate648試験の最初の結果。(アブストラクトLBA4001)

局所進行子宮頸がんの一次治療として、化学放射線療法後の術後補助化学療法の使用を化学放射線療法単独と比較した第3相OUTBACK試験の結果(アブストラクトLBA3、プレナリー)

翻訳担当者 藤 万里子

監修 東海林洋子(薬学博士)

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