FDAが転移を伴う去勢感受性前立腺がんにエンザルタミドを承認

2019年12月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)患者に対してエンザルタミド(販売名:XTANDI、Astellas Pharma Inc.社)を承認した。

エンザルタミドは、去勢抵抗性前立腺がん患者については既に承認されている。

有効性はARCHES(NCT02677896)試験で評価された。本試験では、転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)患者1150人を、エンザルタミド160mgの1日1回経口投与群(574人)とプラセボの1日1回経口投与群(576人)に1:1で無作為に割り付けた。患者は全員、GnRHアナログを投与されていたか、以前に両側精巣摘除術を受けていた。

主要有効性評価項目は、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)とした。盲検下の独立中央判定に基づいて、rPFSは、ランダム化から、画像診断上の病勢進行までの期間、または薬物中止後24週間以内の死亡までの期間として定義した。画像診断上の病勢進行は、前立腺がんワーキンググループ2による基準に基づく骨スキャンでの2つ以上の新しい骨病変の確認および軟組織疾患の進行の両方またはいずれかによって定義された。新規の抗腫瘍療法までの期間が評価項目に追加された。

無増悪生存期間(rPFS)の中央値は、プラセボ群での19.4カ月(95%信頼区間[CI]:16.6~未到達[NR])に対し、エンザルタミド群では未到達(NR)であった(ハザード比[HR] 0.39; 95%CI:0.30~0.50; p<0.0001)。無増悪生存期間(rPFS)の中央値は、プラセボ群での19.4カ月(95%信頼区間[CI]:16.6~未到達[NR])に対し、エンザルタミド群では未到達(NR)であった(ハザード比[HR] 0.39; 95%CI:0.30~0.50; p<0.0001)。また、新規の抗腫瘍療法の開始時点までに、プラセボ群と比較してエンザルタミド群において統計的に有意な改善が報告された(HR 0.28; 95%CI:0.20~0.40; p<0.0001)。全生存期間(OS)データは、無増悪生存期間(rPFS)分析の時点では確定していなかった。

ARCHES試験でエンザルタミド治療群に最もよくみられ(5%以上)、プラセボ群よりも2%以上多く認められた副作用は、ほてり、無力症または疲労、高血圧、骨折、および筋骨格痛であった。

推奨用量は、食事摂取の有無にかかわらず、1日1回160mg(40mgカプセル4個)の経口投与である。

XTANDIの全処方情報はこちらを参照のこと。

本審査ではAssessment Aidを使用した。これは、FDAの評価を促進するために申請者が自発的に申請を提出するものである。本申請は、FDAの目標期日の2週間前に承認された。

エンザルタミドは優先審査に指定された。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 福原真吾

監修 石井一夫(計算機統計学/久留米大学バイオ統計センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明の画像

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明

デューク大学医学部デューク大学医療センター最近、前立腺がんの治療において矛盾した事実が明らかになった: テストステロンの産生を阻害することで、病気の初期段階では腫瘍の成長が止ま...
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性の画像

一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性

ジョンズホプキンス大学抗がん剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)は、BRCA2などの遺伝子に変異を有する患者に対し、男性ホルモン療法を併用せずに、生化学的再発をきたした前立腺がんの治療に...
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持の画像

転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持

第3相PSMAforeの追跡研究研究概要表題タキサン未投与の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性とARPI変更との比較:ラ...
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望の画像

転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望

低温プローブを用いる治験的治療では、前立腺がん細胞の一部を死滅させ、腫瘍特異的ネオアンチゲン(※がん細胞特有の遺伝子変異などによって新たに生じた抗原)を放出させ免疫反応を促進する。...