エンザルタミドは転移性前立腺がん患者の生存期間を延長
本剤とアンドロゲン除去療法との併用は臨床的に有用である。
エンザルタミド(イクスタンジ)とアンドロゲン除去療法(ADT)との併用が、進行性前立腺がん患者における経時的な転移の進行または死亡のリスクを有意に減少させたことが、デュークがん研究所が主導する臨床試験の結果から明らかになった。
Journal of Clinical Oncology誌に発表されたこの知見は、アンドロゲン受容体阻害剤であるエンザルタミドとアンドロゲン除去療法(ADT)とを併用した場合の有効性と安全性を評価したARCHES試験と呼ばれる多施設共同試験の成果であった。
この試験には、アンドロゲン除去療法(ADT)による治療を開始したばかりの、またはドセタキセル+ADTによる治療を最近完了した転移性前立腺がん患者1,150人が登録され、半数の患者がエンザルタミド+ADT併用、残りの半数がADT+プラセボを受けるように無作為に割り付けられた。 患者の多く(62%)は骨に4つ以上の転移部位があるか、または内臓に転移していると定義される腫瘍量の多い疾患で、それ以外(38%)は腫瘍量が少ない疾患であった。
「転移性前立腺がん患者は、標準的なホルモン療法を行っても予後不良であり、いまだ有効な治療法を必要としています」と、筆頭著者であるデュークがん研究所の内科外科部門教授Andrew Armstrong医師は述べた。
この試験の主要評価項目は放射線画像診断による無増悪生存期間であり、副次的評価項目は全生存期間、去勢抵抗性までの期間、追加治療までの期間、生活の質、骨折などの骨格関連事象までの期間、およびPSA(前立腺特異抗原)検査数値の上昇までの期間であった。
全体的に見て、エンザルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)はプラセボ+ADTと比較して放射線画像診断的増悪・死亡のリスクを有意に61%減少させた。 疾患進行におけるこうした改善は、腫瘍量および以前のドセタキセル使用を含む治療法にも関係なく見られた。骨格関連事象、去勢抵抗性、追加治療までの期間、およびPSA値上昇までの期間について有意な遅延が観察され、高い生活の質が長期間維持された。
「このデータは、最近報告されたその他のいくつかの研究結果と合わせて、より強力なアンドロゲン受容体阻害療法が進行した前立腺がん患者の転帰を改善することを示唆しています。患者は今や、いくつかの治療法から選択することができます。これはわれわれの患者にとって朗報です」と、Armstrong氏は述べた。
Armstrong氏は、全生存期間の改善に関しては、ドセタキセルあるいはエンザルタミドとアンドロゲン除去療法(ADT)との併用療法と比較して、ドセタキセル+エンザルタミド+アンドロゲン除去療法の(3療法)併用が有益な患者について理解するために、より多くのデータと追跡調査が必要になると述べた。
なお、Armstrong氏のほかの研究著者は以下のとおりである:Russell Z. Szmulewitz, Daniel Petrylak, Jeffrey Holzbeierlein, Arnauld Villers, Arun Azad, Antonio Alcaraz, Boris Alekseev, Taro Iguchi, Neal D. Shore, Brad Rosbrook, Jennifer Sugg, Benoit Baron, Lucy Chen and Arnulf Stenzl.
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