進行性前立腺癌治療薬[degarelix〔デガレリクス〕]をFDAが承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2008年12月29日 Media Inquiries:FDA Press Office, 301-796-4540 Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

進行性前立腺癌治療薬をFDAが承認

米国食品医薬品局(FDA)は注射剤degarelix〔デガレリクス〕を先日承認した。前立腺癌治療薬としては数年ぶりの新薬となる。 Degarelixは進行性前立腺癌の治療を目的とする。ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体阻害剤と呼ばれる薬群に属する。この薬群は、前立腺癌が成長し続けるうえで重要な役割をもつテストステロンを抑制し前立腺癌の成長と進行を遅らせる。前立腺癌のホルモン治療は、治療開始当初はテストステロン値を低下させる前にその産生を一過性に促進するおそれがある。このようにホルモン受容体を治療開始直後に刺激するため、腫瘍の成長を抑制せずに一時的に促進してしまう可能性がある。このような作用はdegarelixにはない。 「前立腺癌は米国男性の癌による死因では第2位であり、前立腺癌患者に対する追加治療の選択肢が必要とされているのです。」とRichard Pazdur医師(FDA医薬品評価センター内、癌治療薬オフィス責任者,)は述べている。 前立腺癌は、全米で最も多く診断される癌の一つである。現在入手可能な最新の統計は2004年のもので、前立腺癌と診断されたのは19万人近くにのぼり、2万9千人が死亡している。 前立腺癌はその病期によって治療の選択肢がいくつかあり、これには経過観察、前立腺摘除術、放射線療法、化学療法、GnRH受容体に作用する薬剤を使うホルモン療法などがある。 Degarelixの効果は、degarelixまたは進行性前立腺癌に対して現在使用されている治療薬であるleuprolideのいずれかを前立腺癌患者に投与した臨床試験により立証された。GnRH受容体に働く他の薬剤ではテストステロンが一時的に上昇するのに対し、degarelixによる治療ではこのような一時的上昇はみられなかった。 実際には、どちらの薬剤の投与でも患者のほぼ全員に、精巣摘出術と同等レベルまでテストステロンの抑制がみられた。 本臨床試験で最も多く報告された有害反応は、注射部位の反応(疼痛、発赤、腫脹)、ほてり、体重増加、倦怠感、一部の肝酵素の上昇などであった。 Degarelixは、Rentschler Biotechnologie 社(ドイツLaupheim)が製造、Ferring Pharmaceuticals社(米国ニュージャージー州Parsippany)が販売している。

******

Chachan 訳 榎本 裕(泌尿器科)監修 

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明の画像

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明

デューク大学医学部デューク大学医療センター最近、前立腺がんの治療において矛盾した事実が明らかになった: テストステロンの産生を阻害することで、病気の初期段階では腫瘍の成長が止ま...
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性の画像

一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性

ジョンズホプキンス大学抗がん剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)は、BRCA2などの遺伝子に変異を有する患者に対し、男性ホルモン療法を併用せずに、生化学的再発をきたした前立腺がんの治療に...
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持の画像

転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持

第3相PSMAforeの追跡研究研究概要表題タキサン未投与の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性とARPI変更との比較:ラ...
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望の画像

転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望

低温プローブを用いる治験的治療では、前立腺がん細胞の一部を死滅させ、腫瘍特異的ネオアンチゲン(※がん細胞特有の遺伝子変異などによって新たに生じた抗原)を放出させ免疫反応を促進する。...