FDAが転移性高リスク去勢感受性前立腺がんにアビラテロンアセテートとプレドニゾンの併用を承認

2018年2月7日、米国食品医薬品局(FDA)は転移性高リスク去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアビラテロンアセテート(商品名:ザイティガ、Janssen Biotech社)錠とプレドニゾンの併用を承認した。

FDAが最初にアビラテロンアセテートとプレドニゾンの併用を承認したのは2011年で、すでに化学療法を受けた転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者が対象であったが、2012年には転移性CRPC患者にまで適応が拡大された。

2018年2月7日の承認は、転移性高リスクCSPC患者1,199人が参加したLATITUDE(NCT01715285)という国際的なプラセボ対照ランダム化臨床試験に基づいている。患者は1日1回のアビラテロンアセテート1,000mgの経口投与と1日1回のプレドニゾン5mgの投与を受ける群(n=597)と、1日1回のプラセボの経口投与を受ける群(n = 602)とに分けられた。両群の患者とも、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの投与または両側精巣摘除術のいずれかを受けた。主要有効性エンドポイントは全生存(OS)であった。全生存期間の中央値は、アビラテロンアセテート群では評価できず、プラセボ群では34.7カ月であった(HR 0.621; 95% CI: 0.509, 0.756; p<0.0001)。化学療法開始までの期間の中央値は、アビラテロンアセテート+プレドニゾン群では未達であり、プラセボ群では38.9カ月であった(HR 0.44; 95%CI:0.35,0.56; p <0.0001)。

LATITUDE試験でアビラテロンアセテートの投与を受けた患者のうち少なくとも5%でみられた最も一般的な有害反応は、高血圧、ホットフラッシュ、低カリウム血症、アラニンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、頭痛、尿路感染、上気道感染症、および咳嗽であった。

転移性CSPCに対するアビラテロンアセテートの推奨用量は1,000mgを経口で1日1回およびプレドニゾン5mgを経口で1日1回投与である。アビラテロンアセテートの投与を受ける患者は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アナログを同時に投与するか、両側精巣摘除術を先に受けるべきである。

処方情報の詳細はこちらから入手できる。https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2018/202379s024lbl.pdf.

FDAは本申請に優先審査を適用し、期日より1カ月以上前に承認された。FDAの迅速承認プログラムについては「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤」に記載されており、こちらから入手できる:http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAのMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームのファックス(1-800-FDA-0178)か郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

翻訳担当者 甲斐久美子

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明の画像

前立腺がんにおけるテストステロンの逆説的効果を解明

デューク大学医学部デューク大学医療センター最近、前立腺がんの治療において矛盾した事実が明らかになった: テストステロンの産生を阻害することで、病気の初期段階では腫瘍の成長が止ま...
一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性の画像

一部の生化学的再発前立腺がんに、精密医薬品オラパリブがホルモン療法なしで有効な可能性

ジョンズホプキンス大学抗がん剤オラパリブ(販売名:リムパーザ)は、BRCA2などの遺伝子に変異を有する患者に対し、男性ホルモン療法を併用せずに、生化学的再発をきたした前立腺がんの治療に...
転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持の画像

転移性前立腺がん試験、アンドロゲン受容体経路阻害薬の変更よりも放射性リガンド療法を支持

第3相PSMAforeの追跡研究研究概要表題タキサン未投与の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性とARPI変更との比較:ラ...
転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望の画像

転移性前立腺がんに生物学的製剤SV-102とデバイスの併用免疫療法SYNC-Tは有望

低温プローブを用いる治験的治療では、前立腺がん細胞の一部を死滅させ、腫瘍特異的ネオアンチゲン(※がん細胞特有の遺伝子変異などによって新たに生じた抗原)を放出させ免疫反応を促進する。...