早期前立腺がんに短期で集中的な放射線療法が推奨可能

デューク大学医療センター

早期前立腺がん患者に、わずかに高い1日線量を照射することで、がんの制御に支障をきたすことなく現在の治療レジメンよりも2週間以上短縮できることが、デュークがん研究所の研究者が主導する全国規模の研究によって示された。

4月4日のJournal of Clinical Oncology誌に掲載された発表によると、本研究チームは、約5.5週間に短縮した放射線療法スケジュールと8週間の標準放射線療法とを比較し、治癒率が同等かどうかを評価した。がんの制御に関しては両治療スケジュールで同等であったが、医師の報告では、短期の放射線スケジュールの患者の方が、軽度の副作用が若干多かった。

「本研究は、公共政策に影響を与えます」と、本研究の臨床試験責任医師で、デューク大学放射線腫瘍科教授、W. Robert Lee医師は述べた。「短期レジメンには、患者にとって高い利便性や低コストといった利益があるため、短期レジメンでも同じだけの患者を治癒させることができるかどうかを立証することは重要です。われわれの研究は、そのような情報を初めて示したものになります」。

非営利のがん研究組織であるNRG Oncologyの一員として活動するLee医師らは、早期と診断され、転移を認めない前立腺がん男性約1,100人を登録した。患者の約半分を、一般的なレジメンである41回の分割照射治療に、残りの半分をわずか28回という高線量の分割照射治療に無作為に割り付けた。

5年の時点で、2群間の無病生存率に差はなく、従来の治療群でがんがなくなった男性は85.3%であったのに対し、短期レジメン群では86.3%であった。5年の時点での全生存率にも差はなく、それぞれ93.2%、92.5%であった。

医師の報告による軽度の胃腸毒性および泌尿生殖器毒性は、1日線量が高く、照射回数が少なかった患者で高い頻度で認められたが、より重度の副作用は両群共にまれで(5%未満)、両群間に差は認められなかった。研究者らはまた、患者に対し、経験した副作用について説明するよう求めたが、これらのデータについてはまだ解析されていない。

「米国では、推計220,000人の男性が、毎年新たに前立腺がんと診断されると見込まれていますが、その大多数は、再発リスクの低い早期がんだと思われます」と、Lee医師は述べた。「これらの研究結果は、臨床的意思決定の指針となるはずであり、医師は、従来の治療スケジュールに代わる方法として、短期放射線療法を推奨することに自信を持ってよいのではないでしょうか」。

Lee医師の他の共著者は以下のとおりである。James J. Dignam; Mahul B. Amin; Deborah W. Bruner; Daniel Low; Gregory P. Swanson; Amit B. Shah; David P. D’Souza; Jeff M. Michalski; Ian S. Dayes; Samantha A. Seaward; William A. Hall; Paul L. Nguyen; Thomas M. Pisansky; Sergio L. Faria; Yuhchyau Chen; Bridget F. Koontz; Rebecca Paulus; and Howard M. Sandler.

本研究は、米国国立衛生研究所(NIH)および米国国立がん研究所(NCI)を通じ、NRG Oncologyの支援を受けた (U10CA21661、U10CA37422、U10CA180868、U10CA180822)。

翻訳担当者 生田亜以子

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)監修 

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