アビラテロンが転移性前立腺がん患者の生存期間を改善/NCI臨床試験結果

2011年7月27日掲載
2012年12月31日更新

国際共同第3相試験において、アビラテロンは転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の生存期間中央値をプラセボと比べて4カ月延長させました。2010年10月11日にイタリア、ミラノで開催された35th Congress of the European Society for Medical Oncology (ESMO)において、本試験の中間結果が発表され、その後、2011年5月26日にNew England Journal of Medicine誌に掲載されました(抄録参照)。

前立腺がんの標準的な治療は、がんの増殖を促進するホルモンであるテストステロンの血中濃度を低下させます。しかし、最終的にほとんどの前立腺がんがこれらの治療に抵抗性を示すようになります。このようながんを去勢抵抗性前立腺がんと呼びます。アビラテロンは、精巣、副腎および前立腺腫瘍それ自身におけるアンドロゲンの生成を阻害することで、これらの腫瘍を治療するようデザインされています。

本臨床試験では13カ国からドセタキセルを含む2種の化学療法のうち1種を受けたことがある転移性前立腺がん患者1,195人が参加しました。本臨床試験では13カ国からドセタキセルを含む2種の化学療法のうち1種を受けたことがある転移性前立腺がん患者1,195人が参加しました。アビラテロン+副腎皮質ステロイドであるプレドニゾン投与群に無作為に割り付けられた797人の生存期間中央値は14.8カ月でした。プラセボ+プレドニゾン投与群に割り付けられた398人の生存期間中央値は10.9カ月でした。

前立腺特異抗原(PSA)の増加に要する時間、画像診断に基づく無増悪生存期間、治療後にPSA値が減少した患者数などの臨床試験におけるすべての副次的評価項目に関しても、プラセボ投与群及びアビラテロン投与群の間で違いがみられました。予め定めていた試験結果の中間解析中にアビラテロンの有益性が確認されたため、試験の独立データモニタリング委員会は、この試験を非盲検とし、プラセボ群患者にもアビラテロンを投与することを推奨しました。

「これは前立腺がん治療における大きな前進です」と英国がん研究所およびRoyal Marsden Hospitalの主任研究員であるJohann de Bono医学博士は述べました。「転移性去勢抵抗性前立腺がん男性患者は予後不良であり、診断後に5年生存できるのはおおよそ3人に1人です。アビラテロン酢酸エステルは多くの男性の寿命を延長させる可能性があります」と彼は説明しました。

これらの結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)はドセタキセルを含む化学療法をすでに受けたことがある転移性去勢抵抗性前立腺がん男性患者を適応として、2011年4月にアビラテロンを承認しました。アビラテロンは2010年6月以降にこの種の進行性前立腺がんを適応として承認された2番目の医薬品です。

編集者注:2012年12月、米国食品医薬品局(FDA)はアビラテロンの承認(プレドニゾンとの併用)を、化学療法を受けたことがない転移性去勢抵抗性前立腺がん男性患者へと拡大しました。承認拡大につながった臨床試験結果は2012年12月10日のNew England Journal of Medicine誌に掲載されました。

原文

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下野龍太郎 訳
榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)監修 
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