前立腺がん診断後の欧米型食生活は死亡リスク上昇に関連する
野菜や果物の豊富な食事がリスクを低下させる
前立腺がん診断後に、加工肉や赤肉、高脂肪の乳製品を多く摂取する男性は、前立腺がんに関連する死亡リスクや全原因による死亡リスクが上昇し、野菜や果物を多く摂取する男性は、全原因による死亡リスクが低下するという研究結果が、米国がん学会(AACR)の機関誌であるCancer Prevention Research誌に掲載された。
「非転移性前立腺がんと診断され、食生活がより『欧米化した』、つまり、食事に加工肉、精製された穀物、じゃがいも、高脂肪の乳製品が含まれる男性は、前立腺がんで死亡する可能性が高いということをわれわれは明らかにしました」と、本研究の統括著者であり、ハーバード公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)の栄養学・疫学助教であり、ボストンのハーバード大学医学部の教育病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の医学部助教、Jorge E. Chavarro医学博士・理学博士は述べる。
米国の前立腺がん患者数は約300万人に上る。それにも関わらず、前立腺がん診断後の食事をはじめとする生活習慣をどのように管理すれば生存率が改善するかといった情報は、患者や臨床医へほとんど提供されていない。こうしたことから著者らは本研究で検討を試みた、とChavarro氏は説明する。
欧米型の食生活パターンが上位4分の1に属する男性群の前立腺がんによる死亡リスクは、下位四分の一に属する男性群よりも2.53倍(153%)高く、全原因による死亡リスクは67%上昇した。
「賢明な」食生活パターンと呼ばれる野菜、果物、魚、マメ、全粒穀物を主に摂取する男性の全原因による死亡リスクは36%低下し、前立腺がんによる死亡リスクの低下も認められた。しかし、この食生活と死亡リスク低下の関連性は統計学的に有意ではなかった。
「心血管系疾患は前立腺がんサバイバーにおける上位死亡原因の1つであることから、全原因死亡率に関してわれわれが得た知見は、予想どおりのものであると同時に、心血管系疾患に対する食事の役割に関する最新知識に極めて合致したものであると言えます。
しかし、診断後の食事が疾患予後にどのような影響を与えるかというデータがほとんどないということもあり、欧米型食生活と前立腺がんによる死亡に関してわれわれが得た知見は予期しないものでした」とChavarro氏は述べる。
本研究の筆頭著者であるChavarro氏、Harvard Chan Schoolの栄養学主任研究員であるMeng Yang博士・公衆衛生学修士らは、Physician’s Health Study 1,2の参加者から得たデータを解析した。参加者は、臨床状態や食事に関する総合アンケートに回答していた。
研究者らは、前立腺がんと診断後平均14年間追跡し、診断時のBMI、喫煙状態、前立腺特異抗原値、腫瘍の特徴、および初期治療といった因子を考慮した上で、食生活が死亡率に与える影響を評価した。
「主に心血管系疾患予防を目的に一般集団に推奨されている食事と同様のものが、非転移性疾患と当初診断された男性に対しても前立腺がんによる死亡リスクを減少させる可能性があることをわれわれの研究結果は示唆しています」とChavarro氏は述べる。
「本研究で対象とした男性群は、ほとんどがコーカソイドであり、全員が医師です。したがって、今回得られた結果は、さまざまな社会経済的背景、人種的背景、民族的背景を持つ独立した集団で再現される必要があります」とYang氏は注意を促した。
本研究は、米国国防省、米国国立衛生研究所(NIH)、前立腺がん財団、ボストン栄養・肥満リサーチセンター、ハーバードTRECセンター、ダナ・ファーバー/ハーバードがんセンターの前立腺がん優秀研究特別プログラム(SPORE)から資金援助を受けている。Chavarro氏およびYang氏は利害の対立がないことを宣言している。
*サイト注 参考URL:ハーバード大学公衆衛生大学院「健康的な食事プレート」
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