米FDA、転移去勢抵抗性前立腺がん治療薬Pluvictoの適応拡大
2025年3月28日、米国食品医薬品局(FDA)は、lutetium Lu 177 vipivotide tetraxetan(ルテチウム[177Lu]ビピボチドテトラキセタン)(販売名:Pluvicto、ノバルティス社)の適応を拡大し、アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)による治療歴があり、タキサン系化学療法を遅らせることが適切と考えられる前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性の転移去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人を追加した。
適応となるのは、治療歴のあるmCRPC患者で、Locametz(有効成分 ガリウム(68Ga)ゴゼトチド)または別の承認済みPSMA-PETによる腫瘍のPSMA発現に基づいて判断される。
Pluvictoの全処方情報はこちらに掲載予定。
有効性と安全性
有効性は、多施設共同無作為化非盲検試験であるPSMAfore試験(NCT04689828)で評価され、ARPIによる治療で進行がみられたPSMA陽性mCRPCで、担当医師がタキサン系化学療法の延期が適切と判断した患者468人が登録された。患者は、ルテチウム(177Lu)ビピボチドテトラキセタン(7.4GBq[200mCi]を6週間ごとに6回投与)を投与する群とARPIを変更する群に無作為に割り付けられた(1:1)。ARPI群で進行した患者は、試験群へのクロスオーバーが認められた。
主な有効性評価項目は、盲検化された独立中央審査による画像上の無増悪生存期間(rPFS)であった。全生存期間(OS)は有効性の追加評価項目であった。rPFS中央値は、ルテチウム(177Lu)ビピボチドテトラキセタン群で9.3カ月(95%信頼区間[CI]:7、推定不能)、ARPI群で5.6カ月(95%CI:4、6)であった(ハザード比[HR]:0.41[95%CI:0.29、0.56]、p値<0.0001)。OS中央値は各々24.5カ月(95%CI:19.5、28.9)、23.1カ月(95%CI:19.6、25.5)であった(HR 0.91 [95%CI:0.72, 1.14]、p値は統計学的に有意ではなかった)。ARPI変更群に無作為に割り付けられた患者の60%(n=141)が、進行後にルテチウム(177Lu)ビピボチドテトラキセタンの投与に移行した。
有害事象は、ルテチウム(177Lu)ビピボチドテトラキセタンに関する既知のものと一致していた。本剤による治療では、放射線被曝、骨髄抑制、腎毒性によるリスクが生じる可能性がある。
ルテチウム(177Lu)ビピボチドテトラキセタンの推奨投与量は、7.4GBq(200mCi)を6週間ごとに6回、または病勢進行または許容できない毒性が発現するまで静脈内投与する。
- 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
- 記事担当者 平沢沙枝
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- 原文掲載日 2025/03/28
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