中間リスク前立腺癌における監視療法は生存率低下に関連

監視療法による管理下の前立腺癌患者945人におけるデータ解析の結果、診断時に低リスクであったか中間リスクであったかによってアウトカムに差異が生じることが示された。低リスク患者に比べて中間リスク患者(PSA >10ng/ml、Gleasonスコア7、臨床病期T2b/2cのいずれか)では、15年以内に前立腺癌で死亡する確率が4倍近かった。この研究はOrlandoで開かれる 2015 Genitourinary Cancers Symposiumで発表される予定である。

「監視療法の管理下にある低リスク前立腺癌患者では、前立腺癌で死亡するリスクは低く、低リスク患者における監視療法の妥当性が確認されたわけです。しかし、監視療法によって安全に管理できる中間リスク患者の特徴をより適切に把握するにはさらなる研究が必要です」とカナダ、トロントにあるSunnybrook Health Sciences Centreの放射線腫瘍医D. Andrew Loblaw医師は述べている。

監視療法は、低リスクあるいは慎重に選択した中間リスクの前立腺患者に対して世界的に認められた標準療法である。Cancer Care Ontarioはこのほど、低リスク患者に対する優先的アプローチとして監視療法を推奨するガイドラインを発表した。それによると、監視療法の下にある患者は理学的検査、直腸指診、PSA測定、腫瘍の再生検を受ける。

著者によれば、本研究は監視療法の下で管理される低リスク患者と中間リスク患者の長期的アウトカムを比較する最初の研究である。

研究者たちは、1995~2013年の間にカナダのSunnybrook Health Sciences Centreで監視療法を受けていた945人の患者(中間リスク患者237人、低リスク患者708人)に関するデータを前向きに収集し、解析した。この間、病態が悪化した患者には治療(放射線療法あるいは手術)を行った。中間リスク群では86人の患者が治療を受けた。

この解析によると、監視療法を受けた患者の10年全生存率および15年全生存率は、中間リスク患者ではそれぞれ68.4%、50.3%であったのに対し、低リスク患者では83.6%、68.8%であった。中間リスク患者の方が生存率が低かったということは、これらの患者の平均余命がより短かったことを示している。中間リスク患者が前立腺癌で死亡する確率は、低リスク患者の3.75倍であった。(15年時点でそれぞれ11.5%と3.7%)

本研究はProstate Cancer Research Foundation(現Prostate Cancer Canada)、およびSunnybrook Health Sciences Centreの内部資金から資金の提供を受けた。

翻訳担当者 八木佐和子

監修 榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)

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