CabazitaxelのFDA承認

原文 2013/07/02 掲載

商品名:Jevtana[ジェブタナ]

・ドセタキセルを含む治療法を受けたことのある転移性ホルモン不応性前立腺癌患者に対する治療を目的に、プレドニゾンとの併用投与として承認されました。

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報Full prescribing information が参照できます。

米国食品医薬品局(FDA)は2010年6月17日、ドセタキセル含有治療歴のある転移性ホルモン不応性前立腺癌(mHRPC)患者の治療薬として、プレドニゾンとの併用投与でカバジタキセル(Jevtana®静脈注射、サノフィ・アベンティス社)を承認しました。

本承認は主に、ドセタキセル含有治療歴のあるmHRPC患者755人を対象としたランダム化非盲検多国間試験の結果を基にしています。患者をプレドニゾン10mg/日と併用してカバジタキセル25mg/m2を3週間ごとに静脈内投与する群、またはプレドニゾン10mg/日と併用してミトキサントロン12mg/m2を3週間ごとに静脈内投与する群のどちらかに無作為に割り付けました。患者には、病状悪化、死亡、許容範囲を超えた毒性が認められる、または10サイクルが完了するまで投与しました。

生存期間中央値は、カバジタキセル投与群で15.1カ月、ミトキサントロン投与群で12.7カ月でした[HR 0.70 (95% CI 0.59-0.83)、p<0.0001]。RECIST基準を用いた研究者評価の奏効率は、カバジタキセル投与群で14.4%、ミトキサントロン投与群で4.4%でした(p=0.0005)。完全寛解例は、どちらの群にも認められませんでした。

最も多く認められたグレード1~4の副作用は、好中球減少、貧血、白血球減少血小板減少、下痢、倦怠感、悪心、嘔吐、便秘、無力症、腹痛、血尿、背部痛、食欲不振、末梢神経障害、発熱、呼吸困難、味覚障害、咳嗽、関節痛、脱毛でした。最も多く認められたグレード3~4の副作用は、好中球減少、白血球減少、貧血、発熱性好中球減少症、下痢、倦怠感、無力症でした。

最終投与から30日以内での病状悪化以外による死亡が、カバジタキセル投与群で18人(5%)、ミトキサントロン投与群で3人(1%未満)に報告されました。カバジタキセル投与群で最も多く認められた致死的副作用は、感染症と腎不全でした。一人については、下痢による脱水と電解質異常が死亡の原因でした。

カバジタキセル投与による好中球減少に伴う合併症のリスクを減少させる可能性として、G-CSFの投与があります。65歳以上、全身状態不良、発熱性好中球減少症の病歴がある、以前放射線を放射した部位が広範囲、栄養状態不良、あるいは併存疾患が重篤であるといった臨床的特徴のある高リスク患者には、G-CSFの投与による一次予防を検討すべきです。好中球減少による合併症の危険性が高い患者には、G-CSF投与による治療と再発予防治療をすべきと考えられます。重症過敏のリスクがあるため、患者に抗ヒスタミン剤(副腎皮質ステロイドとH2遮断薬)を前投与すべきです。さらに、嘔吐予防を推奨します。

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山下裕子 翻訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

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