エンザルタミドは化学療法歴がない転移性ホルモン不応性前立腺癌の患者に顕著な有用性を示す

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エンザルタミド[enzalutamide](イクスタンジ[Xtandi])化学療法歴のない転移性ホルモン不応性前立腺癌の男性患者に有意な延命効果があるとの試験結果が、2014年欧州泌尿器科学会(EAU、スウェーデン、ストックホルム開催)で発表された。この分子標的治療薬には転移性疾患進行の遅延、死亡リスクの低下、化学療法開始時期の延期という効果があることがわかった。

前立腺は男性生殖器のひとつであり、精液を形成する液体を産生する。膀胱の下方で直腸の前方に位置し、尿道を取り囲んでいる。前立腺において細胞の成長が抑制できなくなると前立腺癌が発症する。

前立腺癌はホルモン感受性疾患であり、多くの場合、アンドロゲン除去療法(ADT)によって長期間抑制できる。この治療法に反応しなくなった前立腺癌をホルモン不応性前立腺癌という。転移性ホルモン不応性前立腺癌は癌が別の部位に広がり、ホルモン療法に反応しないため、前立腺癌の中でも治療が困難なものである。

エンザルタミドはアンドロゲン受容体シグナル経路における複数の段階を標的とし、癌の成長を助ける分子経路を遮断する。さらに、この薬は化学療法でよくみられる吐気や脱毛などの副作用を伴わない。

PREVAIL試験は、化学療法歴がない転移性ホルモン不応性前立腺癌患者で、無症候または軽度の症状がみられた1,717人を対象とするランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同第3相試験であった。患者は、標準的ホルモン療法+エンザルタミド併用群と標準的ホルモン療法+プラセボ併用群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は全生存期間および画像診断による無増悪生存期間であった。本試験は22カ国200以上の施設で実施され、有意な便益が結果として現れた中間段階で中止された。

中間解析の時点は追跡期間中央値20カ月で、エンザルタミドによって死亡リスクが29%、画像診断上の増悪のリスクが81%と有意に低下した。この薬剤で最もよくみられた有害事象は倦怠感、背部痛、便秘、関節痛および高血圧であった。

研究者らはエンザルタミドが転移性疾患の進行遅延、死亡リスクの低下、化学療法開始時期の延期をもたらしたと結論づけた。以上より、本薬剤は今回のような患者集団において生存期間を有意に延長し、意味のある臨床的便益をもたらすといえる。

参考文献
Tombal B, Iversen P, Miller K, et al: Enzalutamide in men with chemotherapy-naïve metastatic castration resistant prostate cancer (MCRPC): Primary and European regional results of the phase 3 prevail study. Presented at the 2014 EAU Congress in Stockholm Sweden. Abstract LBA3.


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翻訳担当者 松木宏樹

監修 榎本 裕 (泌尿器科/三井記念病院)

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