アビラテロンは疼痛悪化までの期間を延長する

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化学療法による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺癌患者の治療では、プレドニゾンにアビラテロン[abiraterone](Zytiga)を追加すると、プレドニゾン単独よりも、患者が報告する疼痛の悪化や健康関連QOLの低下を有意に遅らせることができたとする試験結果がLancet Oncology誌に掲載された。

前立腺癌はホルモン感受性の疾患で、アンドロゲン除去療法(ADT)によって長期間にわたって制御できることが多い。アンドロゲン除去療法に反応しなくなった前立腺癌はホルモン不応性前立腺癌と呼ばれる。転移性ホルモン不応性前立腺癌は、癌が体の別の部位に広がり、標準的なホルモン療法に反応しなくなるため、治療が困難となる。

アビラテロンは経口の分子標的薬で、精巣のほか、副腎や腫瘍そのものからも産生されるアンドロゲン(テストステロンなどの男性ホルモン)の産生を阻害する。

この二重盲検国際共同試験では、1,088人の進行した転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を、アビラテロンとプレドニゾンを投与するグループとプレドニゾンとプラセボを投与するグループに無作為に割り付け、4週サイクルを連続して繰り返した。研究者らは、患者の疼痛および健康関連QOL(HRQoL)を評価した。疼痛の判定には簡易疼痛調査票(BPI-SF)を用い、HRQoLの判定にはFunctional Assessment of Cancer Therapy-Prostate (FACT-P)の質問票を用いた。次に、その結果を分析し、臨床的に有意な疼痛の悪化およびHRQoLの低下を評価した。

追跡期間中央値22.2カ月の時点で、平均的な痛みの強さが増すまでの期間の中央値は、アビラテロン/プレドニゾン群(26.7カ月)の方がプレドニゾン/プラセボ群(18.4カ月)よりも有意に長かった。このほか、疼痛が日常活動に支障を来たすまでの期間も、アビラテロン群/プレドニゾン群が(中央値10.3カ月)プレドニゾン/プラセボ群(中央値7.4カ月)に対して有意に長かった。さらに、最悪の痛みの強さが増すまでの期間の中央値でも、アビラテロン/プレドニゾン群(26.7カ月)の方がプレドニゾン/プラセボ群(19.4カ月)よりも長かったが、その差は有意なものではないと考えられた。

HRQoLが低下するまでの期間の中央値は、アビラテロン/プレドニゾン群(12.7カ月)の方がプレドニゾン/プラセボ群(8.3カ月)よりも長かった。

研究者らは、化学療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺癌では、アビラテロンとプレドニゾンの併用によって患者が報告する疼痛の悪化およびHRQoLの低下を遅らせることができると結論している。

参考文献:
Basch E, Autio K, Ryan CJ, et al: Abiraterone acetate plus prednisone versus prednisone alone in chemotherapy-naive men with metastatic castration-resistant prostate cancer: patient-reported outcome results of a randomised phase 3 trial. The Lancet Oncology. 2013; 14(12):1193-1199.


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翻訳担当者 中村幸子

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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