バイアグラは前立腺癌患者の放射線療法後における性機能を改善する

キャンサーコンサルタンツ

マサチューセッツ州ボストンで開催された米国放射線腫瘍学会(ASTRO)第54回年次集会において、放射線療法前後、およびその期間中にバイアグラ®(シルデナフィルクエン酸塩)を投与することで、前立腺癌患者の性機能が改善すると発表された。

前立腺癌はアメリカ人男性の中で、皮膚癌以外で最も多くみられる典型的な腫瘍である。大部分の男性は、早期の前立腺癌と診断されることで長生きできるが、治療の副作用により、生活の質が損なわれる。前立腺癌治療は勃起不全および尿失禁を引き起こし、さらに性機能全体に対して持続的な影響を与える。

前立腺癌の治療法の1つとして放射線療法が挙げられる。外照射法(EBRT)は外部から照射するものであり、組織内照射法は前立腺に放射性のシードを挿入するものである。いずれの放射線療法も性機能に影響を与える。

研究者はバイアグラが放射線療法前後およびその期間中において前立腺癌患者の勃起機能を維持できるかどうかを検証する試験を実施した。本試験はEBRTまたは組織内照射法あるいはその両方の治療を受けている290人の限局性前立腺癌患者を対象とした。ランダムに割付けした男性患者に対してバイアグラまたはプラセボのどちらかを投与した。放射線療法前の3日間、被験薬を患者に投与し、引き続き被験薬の1日用量の投与を6カ月間続けて行った。その後は必要に応じて投与した。

両群の患者に対して放射線療法前、放射線療法後の6、12および24カ月目に国際勃起機能スコア(IIEF)および国際前立腺症状スコア(IPSS)に関するアンケートを実施した。

治療前に調査をし、少なくとも過去に1回は治療を受けたことがあり、ホルモン療法を施行していない144人の患者から得られた成績を解析した。IIEFは患者の勃起機能、オルガズム機能、性的衝動、性交満足感および全般の満足感に基づき算出された。

その結果、男性のバイアグラ投与群におけるIIEFは照射後の6カ月目(58.6に対して49.4)、12カ月目(56.3に対して48.2)および24カ月目(54.9に対して47.6)のそれぞれの時点においてプラセボ群と比較して有意に高い値を示した。

研究者は男性のバイアグラ投与群の結果から、プラセボ群と比較して全ての時点における全体的な性機能を改善したと結論付けた。よって、放射線療法前後およびその期間中にバイアグラを連日投与することにより全体的な性機能を改善すると考えられる。

参考文献:
Zelefsky MJ, Shasha D, Kollmeier M, et al. Results of a prospective randomized double-blind placebo controlled trial evaluating the use prophylactic sildenafil citrate during radiation therapy in the treatment of prostate cancer. Presented at the 54th Annual Meeting of the American Society for Radiation Oncology. October 28-31, 2012 Boston, Mass. Abstract 4.


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翻訳担当者 石川寛和

監修 中村光宏(医学放射線/京都大学大学院医学研究科)

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