FDAが去勢抵抗性前立腺がんにタラゾパリブ+エンザルタミド併用を承認
米国食品医薬品局(FDA)
2023年6月20日、米国食品医薬品局(FDA)は、相同組換え修復(HRR)遺伝子変異転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対して、エンザルタミドと併用するタラゾパリブ(販売名:Talzenna、Pfizer社)を承認した。
有効性は、HRR遺伝子変異mCRPC患者399人を登録した、ランダム化二重盲検プラセボ対照マルチコホート試験であるTALAPRO-2(NCT03395197)で評価された。エンザルタミド160 mgを1日1回の投与に加えて、タラゾパリブ0.5 mgを1日1回投与する群かプラセボを1日1回投与する群のいずれかに患者は無作為(1:1)に割り当てられた。患者は睾丸摘出術を受けていることを要件とされ、受けていない場合はゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログを投与された。転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する全身療法歴のある患者は除外されたが、転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)に対するCYP17阻害薬またはドセタキセル治療歴のある患者は認められた。ランダム化は、CYP17阻害剤またはドセタキセル治療歴で層別化された。HRR遺伝子(ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、またはRAD51C)は、腫瘍組織や循環腫瘍DNA(ctDNA)ベースの次世代シークエンシングアッセイを用いて前向きに評価された。
主要有効性評価項目は、盲検化独立中央審査による画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)であり、軟部組織についてはRECIST v1.1、骨病変についてはProstate Cancer Working Group基準に従った。。
HRR遺伝子変異集団のrPFSは、エンザルタミド併用プラセボ群と比較して、エンザルタミド併用タラゾパリブ群に統計学的に有意な改善が認められ、中央値はプラセボ群が未達、タラゾパリブ群が13.8カ月であった(ハザード比[HR]0.45、95%CI:0.33、0.61、p < 0.0001)。BRCA遺伝子変異の有無による探索的解析では、BRCA遺伝子変異mCRPC患者(n = 155)のrPFSのハザード比は0.20(95%CI:0.11、0.36)であり、非BRCAm HRR遺伝子変異mCRPC患者については0.72(0.49、1.07)であった。
臨床検査値異常を含む、特に多くみられた有害事象(10%以上)は、ヘモグロビン減少、好中球減少、リンパ球減少、疲労、血小板減少、カルシウム減少、悪心、食欲減退、ナトリウム減少、リン酸塩減少、骨折、マグネシウム減少、めまい、ビリルビン増加、カリウム減少、味覚異常であった。TALAPRO-2でタラゾパリブとエンザルタミドの併用療法を受けたmCRPC全患者(n = 511)のうち、39%が輸血を必要とし、うち22%が複数回の輸血を必要とした。また、患者2人が骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病(MDS/AML)と診断された。
タラゾパリブの推奨用量は0.5 mgで、エンザルタミドと併用し、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで1日1回経口投与する。エンザルタミドの推奨用量は160 mgを1日1回の経口投与である。タラゾパリブとエンザルタミドの投与を受ける患者は、同時にGnRHアナログ化合物も投与されるか、両側睾丸摘出術を受けている必要がある。
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- 監訳 小宮 武文(腫瘍内科/Penn State College of Medicine)
- 翻訳担当者 松長愛美
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- 原文掲載日 2023/06/20
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