術前Zytigaとホルモン療法で一部の高リスク前立腺癌で腫瘍消失

キャンサーコンサルタンツ

イリノイ州シカゴで開催された2012年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された研究結果によると、分子標的薬Zytiga (アビラテロン)による術前補助療法とホルモン療法を6カ月間実施したところ、高リスク限局性前立腺癌男性患者の3分の1で、腫瘍がほぼ消失した。

限局性前立腺癌男性患者は、手術単独または放射線単独で治癒することが多いが、グリーソンスコアが高い、PSA値が非常に高い、癌が前立腺外に浸潤している、リンパ節転移があるなど特定の危険因子を有する男性患者の場合は、すべての検出可能な癌を外科的に摘出したか放射線療法を実施したか否かに関係なく、前立腺癌の再発率が高い。このような癌は、高リスク限局性前立腺癌(LHRPC)と言われる。LHRPCの男性の予後は不良で、根治的前立腺摘除(RP)で治癒することは少なく、術前補助ホルモン療法(アンドロゲン除去療法[ADT])によって治療結果が改善されていない。

Zytigaは、精巣だけでなく、副腎および腫瘍そのものによるアンドロゲン(テストステロンなどの男性ホルモン)の産生を阻害する経口の分子標的薬である。Zytigaは、化学療法を受けたことのある、転移性のホルモン不応性前立腺癌の治療用に、プレドニゾンとの併用薬として承認されている。本研究は、本剤を早期の前立腺癌で術前補助療法として検証した初めて試験である。

第2相無作為化試験には、LHRPCの男性患者56人を2群のうちの1群に無作為に割り付けた。A群には、ロイブロリド・ホルモン療法を12週間実施した後、さらに12週間ロイプロリドとZytigaで治療した男性患者27人、B群には、全24週間、Zytigaおよびロイプロリドで治療した男性患者29人を登録した。すべての男性患者には24週間の治療後、前立腺の手術を実施し、摘出した組織に癌の所見がないか調べた。

Zytigaによる治療は、両群において忍容性が良好であった。B群の男性患者(24週間のZytigaでの治療を実施した男性患者)のうち34パーセントの癌が、術前に完全に消失、またはほぼ消失した。治療期間の後半でZytigaの投与を受けたA群では、15%の患者の癌が完全に消失したか、ほぼ完全に消失した。

これらは、従来予後が不良であった患者集団において重要な結果である。研究者は、併用療法にはLHRPC男性患者の治療効果を改善する可能性があると結論した。これらの有益性を確認するためにはさらなる研究が必要である。

参考文献:
Taplin ME, Montgomery RB, Logothetis C, et al. Effect of neoadjuvant abiraterone acetate (AA) plus leuprolide acetate (LHRHa) on PSA, pathological complete response (pCR), and near pCR in localized high-risk prostate cancer (LHRPC): Results of a randomized phase II study. Presented at the 2012 annual meeting of the American Society of Clinical Oncology, June 1-5, 2012, Chicago, IL. Abstract 4521.


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翻訳担当者 有田香名美

監修 榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)

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