Xgeva(デノスマブ)は悪性度の高い前立腺癌男性の骨転移を遅らせる

キャンサーコンサルタンツ

悪性度が高く、ホルモン療法での効果も現れなくなった前立腺癌の男性で、骨病変治療薬Xgeva™(デノスマブ)は7カ月以上も骨転移の発症を遅らせた。これらの結果は2012年米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表された。

アンドロゲン除去療法(ADT)は、しばしば前立腺癌の治療において重要な役割を果たしている。ADTは、前立腺のテストステロンへの曝露を減らすことにより、前立腺癌の増殖を遅らせたり、停止させたりする。しかし、最終的には前立腺癌はADTに耐性を持つようになる可能性がある。これは、ホルモン不応性前立腺癌として知られている。

Xgevaは、RANKリガンドとして知られるタンパクを標的とする骨病変治療薬である。このタンパクは、破骨細胞(骨を壊す細胞)の活動を制御する。Xgevaは、固形(非血液関連)癌から生じる骨転移患者の骨折などのような骨関連合併症の予防のために承認されている。Xgevaは、骨に対して抗癌作用も持つ可能性がいくつかの研究によって示された。このことは、前立腺癌や乳癌などの骨に転移しやすい癌患者にとって大きな恩恵となる可能性がある。

骨転移へのXgevaの効果を評価するために、研究者らはホルモン不応性前立腺癌の男性1432人に対して第3相臨床試験を実施した。男性らは前立腺特異抗原(PSA)レベルが急速に上昇および/またはPSAが高レベルであったが、研究開始時点で骨転移はなかった。患者らはXgevaまたはプラセボのいずれかの投与を受けた。

この試験の初期の報告では、Xgevaによって4カ月以上骨転移の発生を遅らせることが示された。現在の解析では、研究者らは試験開始時点でPSA倍加時間が短かった一部の患者に焦点を当てた。短いPSA倍加時間(6カ月以内にPSAレベルが2倍になるものとしてこの場合は定義されている)は、PSAレベルが急速に上昇していることを意味し、より悪性度が高いことを示している。

  • PSA倍加時間が短い男性群は、他の男性群よりも早く骨転移した。このことは、これらの男性群が、特に骨転移リスクが高いことを示している。
  • PSA倍加時間が短い男性群で、Xgevaによって7カ月以上骨転移の発症を遅らせた。

これらの結果は、Xgevaが骨転移のリスクが高い男性群において骨転移の発生を有意に遅らせることを示している。

参考文献:
Saad F, Smith MR,ShoreNDet al.Effect of denosumab on prolonging bone-metastasis free survival (BMFS) in men with nonmetastatic castrate-resistant prostate cancer (CRPC) presenting with aggressive PSA kinetics. Paper presented at: 2012 Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology; June 1-5, 2012;Chicago,IL. Abstract 4510.


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翻訳担当者 伊藤実花

監修 須藤智久(薬学/国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)

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