治験薬ラジウム-223は骨転移した前立腺癌患者の治療成績を改善する

キャンサーコンサルタンツ

第3相臨床試験において、試験治療薬ラジウム-223塩化物は、ホルモン抵抗性前立腺癌で骨転移をきたした男性患者の生存率を改善し骨の合併症を遅らせた。これらの結果は、2012年泌尿生殖器シンポジウムで発表される予定である。

転移性癌は、体内の遠隔部に転移した癌を言う。前立腺癌を含む数タイプの癌は、骨へ転移する傾向がある。骨転移は、骨折や脊髄圧迫などの重大な問題を引き起こす原因となり、手術や放射線治療が必要となることがある。

ラジウム-223塩化物は、骨の癌領域にちょうど治療効果のある線量を届ける。ラジウム-223が骨転移のある前立腺癌の患者の治療成績を改善するかどうかを評価するため、研究者らは、ホルモン抵抗性前立癌の男性患者922人を対象として第3相臨床試験を実施した。患者は最適な標準治療にラジウム-223またはプラセボのいずれかを加えた治療を行った。

  • 全生存期間の中央値は、ラジウム-223群14カ月、プラセボ群で11.2カ月であった。
  • 全生存期間を延長しただけでなく、ラジウム-223は骨折などの骨の合併症の発症も遅らせた。骨合併症の初発までの期間は、ラジウム-223群で13.6カ月、プラセボ群で8.4カ月であった。

本研究の結果より、ラジウム-223は骨転移のある前立腺癌の治療成績を改善することが示された。現在、他の癌治療法との併用や、他の癌タイプの患者に対して使用し、ラジウム-223を評価する計画が進行中である。

参考文献:

Sartor AO, Heinrich D, Helle SI et al. Radium-223 chloride impact on skeletal-related events in patients with castration-resistant prostate cancer (CRPC) with bone metastases: A phase III randomized trial (ALSYMPCA). Presented at the 2012 Genitourinary Cancers Symposium. February 2-4, 2012.San Francisco,CA. Abstract 9.


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翻訳担当者 上野 葉

監修 北村裕太(農学/医学)

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