活性化免疫細胞療法であるProvengeはアンドロゲン非依存性前立腺癌の治療に有望
キャンサーコンサルタンツ
2006年11月
Provenge® (Sipuleucel-T)はプラセボと比較すると無症候性転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌(AIPC)患者の生存期間を改善するかもしれないと、多施設臨床試験に携わった研究者らによって報告された。これらのデータはアリゾナ州・スコッツデールで10月19日~10月21日に開催されたProstate Cancer Foundationの第13回Annual Scientific Retreatで発表された[1]。これらの著者はまた、Provengeの投与後にタキソテール®(ドセタキセル)を投与されたAIPC患者は、プラセボ投与後にタキソテールを投与した患者より生存期間が長かったと報告した。これらのデータは2006年11月8日から11日にニューヨークで開催された第14回Annual Meeting of the Chemotherapy Foundation Symposiumで発表された[2]。
Provengeは前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)抗原を標的とする活性な免疫細胞製剤である。PAP抗原は前立腺癌患者全体の95%に認められる。発表された前立腺患者を対象としたProvengeの第1相および第2相試験でProvengeを使用した、活性化免疫細胞療法は安全で有用性の高いアプローチであることを示している。
Prostate Cancer Foundationの会議で発表されたデータは2006年7月1日号のJournal Clinical Oncology誌で発表されたデータの最新情報であった[3]。この第3相試験(D9901)で転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌患者127例を無作為に割り付け、Provengeまたはプラセボを2週間ごとに死亡するか増悪する投与した。患者を2対1の割合で、82例を治療群、45例を対照群に無作為に割り付けた。患者は死亡まで、または試験の登録から36ヶ月間追跡調査された。プラセボ群の患者34例は疾患の増悪後に Provengeが投与された。
●36ヶ月生存率はProvenge群で34%であったのに対し、プラセボ群では11%のみであった(p=0.0046)。
●生存中央期間はProvenge群で25.9カ月であったのに対し、プラセボ群では21.4ヶ月であった(p=0.01)。
●前立腺癌特異的生存期間中央値はProvenge投与群で35.2カ月であったのに対し、プラセボ群では23.5ヶ月であった。
●Provenge投与が好ましいという前立腺癌特異的生存に関するリスクのハザード比(HR)は2.04であった。
●Provenge投与が良好であるという全生存に対するリスクのハザード比は1.71であった。
多変量解析で,AIPC患者の生存率に関してはProvenge投与が統計学的に有意であることが示された。さらに、化学療法の経験がない患者で生存期間の改善が認められ、化学療法に先立つ有効な治療戦略の可能性を示した。投与による有害事象は硬直、発熱、振戦、悪寒であった。
Chemotherapy Foundation Meetingで発表された要約はAIPCの患者82例をProvengeまたはプラセボによる初期治療に無作為に割り付けたことが掲載されていた。全患者は引き続きタキソテール(ドセタキセル)を投与された。最初にプラセボ群に無作為に割り付けられた患者のうち68%が、最終的にクロスオーバー(他の群への変更)の救済措置によってProvengeを投与された。
●プラセボ+タキソテールを投与された患者の生存期間の中央値が25.4ヶ月であったのに対し最初のProvenge+タキソテールを投与された患者の生存期間の中央値は34.5ヶ月であった。
●Provengeにクロスオーバーした患者で,プラセボ+タキソテールを投与された患者の生存期間の中央値が20.2カ月であったのに対し、Provenge投与後タキソテールを投与された患者では、生存期間の中央値は25.7ヶ月であった。
参考資料:
[1] Small EJ, et al. Sipuleucel-T (Provenge) for Advanced Prostate Cancer. Prostate Cancer Foundation’s 13th Annual Scientific Retreat. Scottsdale, Arizona. October 19-21, 2007.
[2] Petrylak D, et al. Defining the optimal role of immunotherapy and chemotherapy: Advanced prostate cancer patients who receive sipuleucel-T (PROVENGE) followed by docetaxel derive greatest survival benefit. 14th Annual Meeting of the Chemotherapy Foundation Symposium. New York, New York. November 8-11, 2006.
[3] Small EJ, Schellhammer PF, Higano CS, et al. Placebo-controlled phase III trial of immunologic therapy with sipuleucel-T (APC8015) in patients with metastatic asymptomatic hormone refractory prostate cancer. Journal of Clinical Oncology 2006;24:3089-3094.
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