FDAがペムブロリズマブおよびアテゾリズマブの処方情報を更新

FDAは、シスプラチン療法が不適格である局所進行または転移性尿路上皮がん患者の一次治療に関して、患者の選定を目的とするPD-L1判定のためにFDA承認検査の実施を義務付ける

2018年8月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)およびアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の処方情報を更新し、シスプラチン療法が不適格である局所進行または転移性尿路上皮がん患者から採取した腫瘍組織内のPD-L1レベルを判定するために、FDA承認のコンパニオン診断検査の実施を義務付ける。FDAは2種類のコンパニオン診断検査を承認した。1つはペムブロリズマブの使用に対する検査、もう1つはアテゾリズマブの使用に対する検査である。

2018年8月16日、FDAは、シスプラチン療法が不適格である局所進行または転移性尿路上皮がん患者において、ペムブロリズマブ治療対象者を選定するコンパニオン診断検査薬としてDako PD-L1 IHC 22C3 PharmDx Assay(Dako North America, Inc.社)を承認した。22C3検査では、腫瘍細胞および免疫細胞でのPD-L1染色を評価するスコア(CPS:Combined Positive Score)を用いてPD-L1発現を判定する。

ペムブロリズマブの適応は次のように更新された。局所進行または転移性尿路上皮がん患者のうち、シスプラチンを含む化学療法が不適格であり、FDA承認検査で腫瘍にPD-L1発現(CPS ≥10)が認められる患者、またはPD-L1の状態にかかわらずいかなるプラチナベース化学療法も不適格である患者に対する治療を適応とする。

2018年7月2日、FDAは、シスプラチン療法が不適格である局所進行または転移性尿路上皮がん患者のうち、アテゾリズマブ治療に適した患者選定を目的としたコンパニオン診断検査としてVentana PD-L1(SP142)Assay(Ventana Medical Systems, Inc.社)を承認した。
SP142検査では、免疫細胞内のPD-L1発現を判定する。

アテゾリズマブの適応は次のように更新された。下記のいずれかに該当する局所進行または転移性尿路上皮がんを有する患者に対する治療を適応とする。

・シスプラチン療法が不適格であり、FDA承認検査により腫瘍のPD-L1発現が認められる(PD-L1で染色された腫瘍浸潤免疫細胞[IC]が腫瘍範囲の5%以上を占める)患者

・腫瘍のPD-L1発現レベルにかかわらずいかなるプラチナベース化学療法も不適格である患者

FDAは、両剤の処方情報を更新し、シスプラチン療法が不適格である患者のうち、一次治療に適した患者の選定を目的としてFDA承認検査の実施を義務付ける。尿路上皮がんの二次治療の適応については、両剤とも変更はない。臨床試験の中でPD-L1発現の判定に用いた検査については、各薬剤の第14項に列挙している。

キートルーダの処方情報はこちら、テセントリクの処方情報はこちら

翻訳担当者 太田奈津美

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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