パクリタキセル/ジェムザールにより難治性精巣腫瘍の長期生存が得られる

キャンサーコンサルタンツ

先行治療に反応しなくなった精巣腫瘍患者が、化学療法薬剤パクリタキセルとジェムザール(ゲムシタビン)による治療を受けた場合、一部の患者に長期生存と治癒の可能性がみられた。この研究結果は、2011年度米国臨床腫瘍学会年次総会で先日発表された。

精巣腫瘍は15~35歳の米国男性に最も多い癌である。精巣腫瘍は主に、セミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマの2つに分けられる。いずれの組織型も胚細胞、すなわち精子形成を担う精巣内の細胞から発生する。幸い精巣腫瘍は全体的に治癒率の高い疾患であるが、中にはかなり進行して標準治療に効果を示さなくなる(難治性)精巣腫瘍もあり、標準治療による難治性精巣腫瘍の治癒率は依然として低い。

インディアナ大学の研究者らは、最近実施した臨床試験で、難治性精巣腫瘍患者に対するパクリタキセル/ジェムザール治療の有効性を評価した。本試験に含まれる32人の患者は全員、高用量化学療法および幹細胞移植による先行治療を受けたものの精巣腫瘍は進行していた。

  • パクリタキセルとジェムザールによる治療は一部の患者に有効で、腫瘍の縮小が31%に認められた。
  • 12.5%の患者は、治療後5年から9年におよぶ追跡調査時点で再発しておらず、パクリタキセル/ジェムザール治療以降は他の治療を受けなかった。

本研究の著者らは、「パクリタキセルとゲムシタビンを使った救済療法は、〔高用量化学療法〕後の再発性/難治性〔精巣腫瘍〕に長期生存と治癒をもたらす可能性がある」と述べた。

参考文献:

Mulherin B, Brames M, Einhorn L, et al. Long-term survival with paclitaxel and gemcitabine for germ cell tumors after progression following high-dose chemotherapy with tandem transplants. Paper presented at: 2011 Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology; June 3-7, 2011; Chicago, IL. Abstract 4562.


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翻訳担当者 マクドナルド 晋子

監修 榎本 裕 (泌尿器科/東京大学医学部付属病院)

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