【ASCO GU2025】前立腺がんオリゴメタ/尿路上皮がんにダトポタマブ、個別化検診

特集:研究、リスクに応じた個別化検診、乳がん治療の進歩、膀胱がんと前立腺がんに対する有望な結果ーMDアンダーソン研究ハイライト:2025/02/10

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者による、垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究へと発見がもたらされる。本号には、2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器がんシンポジウムで発表される研究が含まれている。

オリゴメタ(小数転移)前立腺がんへの転移巣指向治療は有益な結果を示す(アブストラクト15

オリゴメタ(小数転移)前立腺がん(omPC)患者に対しては、標的療法とホルモン療法などの全身療法が標準治療であるが、研究者らは現在、局所手術や放射線療法によって転移部位を標的とする転移巣指向治療の効果を研究している。少数コホートのomPC患者に転移巣指向治療を用いた第2相試験では、無増悪生存期間(PFS)の改善は示されているが、他の反応バイオマーカーの改善にはあまり効果がみられない。そこで、Chad Tang医師率いる研究者らは、X-Met consortiumから得られたomPC患者472人のデータサブセットを、5つのランダム化臨床試験に焦点を当てて解析した。これらの患者において、放射線学的無増悪生存期間(PFS)と無去勢抵抗性イベント生存期間において初めて良好な有効性が示された。また、標準治療を受けた患者の3年後の生存率が86%であったのに対し、転移巣指向治療では92%を達成した。この結果は、これらの患者に対する転移巣指向治療の可能性を強調するものである。Tang医師はこの結果を2月13日に発表する予定である。

進行尿路上皮がん患者に対する抗体薬物複合体の安全性と有効性(アブストラクト663

進行または転移尿路上皮がん患者の予後は不良であり、治療の選択肢も限られているため、5年生存率が低いことが多い。ダトポタマブ デルクステカン(Datopotamab deruxtecan:Dato-DXd)は、尿路上皮膀胱がんで高発現する表面タンパクTROP2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であり、様々な固形がんで試験が行われている。現在進行中の第1相TROPION-PanTumor01試験の最新結果において、Funda Meric-Bernstamisi医師らは、Dato-DXdが40人の尿路上皮がん患者において、管理可能な安全性プロファイルで有望な抗腫瘍活性を示したと報告している。この治療により、25%の客観的奏効率が得られ、予期せぬ副作用はなかった。Dato-Dxdは現在、第1/2相試験でさらに研究が進められている。Meric-Bernstam医師は2月14日に研究結果を発表する予定である。

一般市民と医療専門家は、個別化されたリスクに基づくがん検診を有用なツールとみなしている

年齢、性別、喫煙歴などの因子に基づく個別化リスク評価(PRA)は、がん死亡の減少に役立つが、多くの場合、画一的なアプローチを用いている。このようなPRAは、リスクの個人差を見逃し、スクリーニングの過不足、不必要な治療、偽陽性をもたらす可能性があり、より個別化されたリスクに基づくスクリーニング(PRBS)へのシフトを促している。Iakovos Toumazis博士率いる研究者らは、2010年1月から2024年4月までの63件の研究のメタ解析を含む系統的レビューを通じて、一般市民と医療専門家のPRA/PRBSに対する認識を調査した。調査結果によると、一般市民の78%、医療従事者の86%がPRBSを肯定的にとらえており、両グループとも、個別化検診はケアを改善し、がん死亡を減少させるための賢明なステップであることに同意している。しかし、PRBSが日常診療の一部になるには、個人、専門家、システムレベルでの課題を解決しなければならない。詳細はThe Lancet Public Health誌を参照のこと。

  • 監修 小宮武文(腫瘍内科/Penn State College of Medicine)
  • 記事担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2025/02/10

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