進行腎がんに対する免疫療法薬+グアデシタビン新治療の可能性を示す研究

オハイオ州立大学総合がんセンター

進行淡明型腎細胞がん(ccRCC)の一部の患者に対する2剤併用療法はさらなる研究に値することが、Big Ten Cancer Research Consortium(ビッグテンがん研究共同事業)の初めての腎がん臨床試験で示されている。

この試験結果は、最近Nature Communications誌に掲載された。オハイオ州立大学総合がんセンターの アーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロベ研究所泌尿器腫瘍学部長、兼トランスレーショナル治療プログラムのメンバーであるEric A. Singer医師が本共同事業の研究を主導した。

「進行した腎臓がんは依然として治療が困難です」とSinger医師は語る。「われわれは、腎細胞がん患者の延命と生活の質の改善の両方を実現するため、新たな薬剤や薬剤併用療法を必要としています。免疫チェックポイント阻害薬の治療歴のない患者にみられたこのレジメンの忍容性と無増悪生存期間はさらに研究するに値すると考えられます」。

免疫チェックポイントとは、ウイルスや細菌に対する身体の免疫反応が健康な細胞も破壊するのを防ぐ免疫システムの自然な要素である。しかし、このようなチェックポイントは免疫系ががん細胞を破壊する能力を阻害することもある。免疫チェックポイント阻害薬は、チェックポイント活性を破壊し、免疫系ががんと闘う能力を高める。

本臨床試験では、グアデシタビン(guadecitabine)と呼ばれる実験的薬剤と免疫系を刺激するデュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)を併用した。本臨床試験の第1b相で本薬剤の併用が安全で、副作用も許容範囲内であることが患者6人で確認された。

第2相では、免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けていない患者36人と免疫チェックポイント阻害薬による治療を1ライン以上受けたことのある患者15人の2群を試験した。

前者の群の奏効率(治療により腫瘍が破壊または縮小した患者)は22%であった。この群の無増悪生存期間は14カ月であった。

後者の群で患者の60%は病勢が安定したが、無増悪生存期間は4カ月未満に過ぎなかった。

この結果に基づき、この実験的併用療法は副作用が管理可能で、特にCPIによる治療歴のない患者において有望な抗がん効果を示したとSinger医師は語った。この併用療法を患者の一次治療と二次治療として検討するにはさらなる研究が必要であると語る。

  • 監訳 榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 翻訳担当者 松長愛美
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  • 原文掲載日 2024/02/27

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