アフィニトール®は腎淡明細胞癌に有効であることを確認

キャンサーコンサルタンツ
2009年4月

テキサス大学医学部の研究者らは腎淡明細胞癌患者の治療に経口mTOR阻害剤RADアフィニトール®(エベロリムス)が有効であることを報告した。本試験の詳細についてはCancer誌2009年3月20日号の早期電子版に掲載された。[1]

アフィニトールは哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)として知られるタンパク質を阻害することで作用する経口の標的療法薬である。mTORタンパク質は癌細胞の分裂や血管新生を制御する重要な役割を持つ。mTOR経路の活性化は乳癌患者で内分泌抵抗を促進する。RAD001はラパマイシン誘導体で、癌細胞の分裂や細胞代謝および血管新生の中心的制御因子として作用するタンパク質であるmTORの経口阻害剤である。

RAD001は乳癌、腎臓癌、肺癌、胃癌および肝臓癌を含む数種のタイプの癌の治療で評価されている。アフィニトールはスーテント®(スニチニブ)またはネクサバール®(ソラフェニブ)の治療が奏効しなかった進行性腎細胞癌患者の治療薬として2009年3月に米国食品医薬品局(FDA)により承認された。

以前のランダム化第3相国際試験によってアフィニトールが前治療を受けた後に進行した進行性腎細胞癌患者で有意に無増悪生存期間を延長することが証明された。

今回の試験では、転移性腎細胞癌患者41人を対象としてアフィニトールの治療を行った。試験参加者の83%が以前に1つ以上の治療を受けていた。これらの患者の年齢の中央値は60歳であった。無増悪生存期間の中央値は11.2カ月で全生存期間は22カ月であった。部分奏効率は14%であった。また病勢の安定率は73%で6カ月以上病勢が安定した患者57%を含んだ。副作用は悪心、食欲不振、下痢、口内炎、発疹および肺炎であった。

コメント:これらのデータはアフィニトールが腎淡明細胞癌の治療に有効な薬剤であることを確認する。

参考文献:[1] Amato RJ, Jac Jaroslaw J, Giessinger S, et al. A phase 2 study with a daily regimen of the oral mTOR inhibitor RAD001 (everolimus) in patients with metastatic clear cell renal cell cancer. Cancer [early online publication]. March 20, 2009.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 内村 美里人

監修 九鬼 貴美(腎臓内科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...
腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定の画像

腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定

概要腎臓がんの遺伝的感受性に関する新たな解析において、国際研究チームが、腎臓がんの発症リスクに関連する50の新たなゲノム領域を特定した。これらの知見は、腎臓がんの分子的基盤の理...
腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...