FDAが腎細胞がんにアベルマブ+アキシチニブを承認
2019年5月14日にFDAはアベルマブ(販売名:バベンチオ, EMD Serono, Inc.社)をアキシチニブ(販売名:インライタ)との併用で進行腎細胞がん(RCC)の一次治療として承認した。
承認はJAVELIN Renal 101試験 (NCT02684006)の結果に基づくものである。試験は腫瘍のPD-L1発現状況にかかわらず886人の未治療進行腎細胞がん(RCC)患者を対象として、ランダム化、多施設共同、非盲検で行われた。患者は、2週間毎のアベルマブ10 mg/kgの静脈内投与に、1日2回のアキシチニブ5 mgの経口投与を併用する群、またはスニチニブ(スーテント)50mgを1日1回4週投与2週休薬する群に無作為に割り付けられ、画像診断で進行が認められるか許容できない毒性がみられるまで投与を受けた。
主要有効性評価項目は、PD-L1陽性腫瘍患者における、RECIST1.1に従い、盲検化された独立中央判定によって評価した無増悪生存期間(PFS)、および全生存期間(OS)であった。副次的評価項目は、全被験者のPFSとOSであった。統計的に有意な無増悪生存期間(PFS)の改善がPD-L1陽性腫瘍患者にみられた(ハザード比0.61; 95%信頼区間[CI]:0.48~0.79; p = 0.0001)。中間解析において、総被験者におけるPFSの統計的に有意な改善もみられた(ハザード比 0.69; 95%CI:0.56~0.84; p = 0.0002)。 総被験者におけるPFSの中央値は、アベルマブとアキシチニブの併用療法を受けた患者で13.8カ月、スニチニブ治療を受けた患者で8.4カ月であった。全生存期間の追跡期間の中央値は19カ月であり、ITT集団では27%が死亡しておりOSデータは十分とはいえなかった。
アベルマブとアキシチニブ併用治療を実施したRCC患者の20%以上に認められた主な副作用は、下痢、疲労、高血圧、筋骨格痛、悪心、粘膜炎、手掌足底発赤知覚不全、発声障害、食欲減退、甲状腺機能低下、発疹、肝毒性、咳、呼吸困難、腹痛、及び頭痛であった。 グレード3または4の肝毒性が患者の9%で発現し、7%でアベルマブまたはアキシチニブの投与を中止した。また、併用治療を受けた患者の7%で、重要な心臓に関す有害事象が発現した。
進行腎細胞がんRCCに対して推奨されるアベルマブの用量は、2週間毎の800mgの静脈内投与であり、1日2回のアキシチニブ5mgの経口投与と併用する。
アベルマブ(販売名:バベンチオ)の全処方情報はこちらを参照。
この薬剤の申請においては、Assessment Aidパイロットプログラムを使用した。FDAは、この申請を優先審査と画期的治療に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤な疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
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