FDAが進行性腎臓癌に対する治療薬Afinitor[アフィニトール]を承認

FOR IMMEDIATE RELEASE2009年3月30日 Media Inquiries: Karen Riley, 301-796-4674 Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが進行性腎臓癌に対する治療薬を承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日(2009年3月30日)、他の癌治療後に進行が認められた進行性腎臓癌患者に対する治療薬として、経口の錠剤Afinitor[アフィニトール](everolimus[エベロリムス])を承認した。腎細胞癌は、血液中の老廃物をろ過する腎尿細管粘膜から発生する最も一般的な腎臓癌である。同癌は放射線療法や化学療法などの標準治療に対して抵抗性を示し、初期治療は腎臓の外科的切除である場合が多い。癌が腎臓に限局する場合、5年生存率は60~70%であるが、癌が体内のその他の部位に拡がった場合、生存率は著しく低下する。 「Afinitorは、スニチニブあるいはソラフェニブによる癌治療で効果が認められなかった進行性腎細胞癌患者にとって一つの選択肢となる。Afinitorのような標的癌治療では、腫瘍進行を伴うことなく生存期間の延長が認められている」と、FDA医薬品評価センター(FDA’s Center for Drug Evaluation and Research)の抗腫瘍薬製品室(Division of Drug Oncology Products)にて主任を務めるRobert Justice医師は述べる。 Afinitorは、細胞伝達を阻害し腫瘍成長を阻止するキナーゼ阻害剤と呼ばれるクラスに属する。Afinitorは、別のキナーゼ阻害剤、スーテント(スニチニブ)あるいはネクサバール(ソラフェニブ)による治療歴のある進行性腎細胞癌患者を対象としている。 スーテントおよびネクサバールがマルチキナーゼ阻害剤(多数の細胞標的に作用する)であるのに対し、Afinitorは哺乳類ラパマイシン標的タンパク質またはmTORとして知られる特定のタンパク質を阻害することで作用する。そのタンパク質阻害作用は、癌細胞の成長、分裂および代謝を阻害する。 Afinitorの安全性および有効性を検討する臨床試験は、Afinitor投与群でAfinitor非投与群よりも腫瘍の増殖や拡散が遅延することが中間解析から明らかになった後に中止された。また、疾患進行の遅延期間は、Afinitor投与群の半数で約5ヵ月間、Afinitor非投与群では2ヵ月間であった。 その試験で最もよく見られた副作用(少なくとも20%の患者に発現する副作用)は、口腔内の炎症、体力喪失、下痢、食欲不振、四肢の水分蓄積、息切れ、咳嗽、悪心、嘔吐、発疹、および発熱であった。血液サンプルの臨床検査では、少なくとも半数の患者で、貧血、白血球数減少、高コレステロール値、高中性脂肪値および高血糖値が認められた。 Afinitorは、スイス、バーゼルに所在するノバルティス・インターナショナルAGが製造している。また、スーテントはニューヨークに所在するファイザー社、ネクサバールはドイツ、レーバークーゼンに所在するBayer HealthCare AG社が製造している。

******

湖月みき 訳 九鬼貴美(腎臓内科)監修 

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...
腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定の画像

腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定

概要腎臓がんの遺伝的感受性に関する新たな解析において、国際研究チームが、腎臓がんの発症リスクに関連する50の新たなゲノム領域を特定した。これらの知見は、腎臓がんの分子的基盤の理...
腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...