FDAがまれな副腎腫瘍にイオベングアンI 131を承認

2018年7月30日、米国食品医薬品局(FDA)は、全身化学療法を必要とし、イオベングアンスキャン陽性で切除不能、局所進行/転移性の褐色細胞腫・傍神経節腫(PPGL)を有する成人および小児患者(12歳以上)に対する治療薬としてiobenguane I 131 [イオベングアン](商品名:AZEDRA、 Progenics Pharmaceuticals, Inc.社)を承認した。

今回の承認は、イオベングアンスキャン陽性、切除不能、局所進行/転移性褐色細胞腫・傍神経節腫を有する12歳以上の患者を対象とした非盲検、単群、多施設共同臨床試験であるIB12B (NCT00874614)試験の結果に基づいている。適格患者68人のうち17人(25%、95%信頼区間 16%~37%)において、服用していたあらゆる抗高血圧薬が6カ月間以上、50%以上減量となった。患者15人(22%、95%信頼区間 14%~33%)に全腫瘍奏効(RECISTガイドライン1.0)が認められ、それら患者のうち53%の奏効期間は6カ月以上であった。

最も多かったグレード3~4の有害反応(10%以上)は、リンパ球減少、好中球減少症、血小板減少症、疲労、貧血、INR(国際標準比)値の増加、悪心、めまい、高血圧、および嘔吐であった。安全性解析対象集団におけるプール解析では、治療用量のイオベングアンI 131投与を受けた患者の6.8%が骨髄異形成症候群または急性白血病を発症した。

イオベングアンI 131は初回の線量で投与した後に、線量測定に基づき調整した2種類の治療用量に分けて投与する。推奨される治療用量は、体重が62.5kgを超える患者には18,500MBq(500 mCi)、62.5kg以下の患者には296MBq/kg (8 mCi/kg)である。

AZEDRAに関する全処方情報はこちら

FDAは、この申請を、優先審査品目、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)、ファスト・トラック(優先承認審査薬)、およびブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)に指定した。FDAの迅速承認プログラムは、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム―医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 有田香名美

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果の画像

進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果

研究タイトル進行腎細胞がんに対するベルズチファンとエベロリムスの比較掲載紙New England Journal of Medicine誌 2024年8月22日...
進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されないの画像

進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されない

研究概要研究タイトル免疫チェックポイント阻害薬投与後の腎細胞がん患者におけるチボザニブ+ニボルマブ併用療法とチボザニブ単剤療法の比較-第3相TiNivo-2試験の結果 ...
腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...