腎臓がんへのアテゾリズマブ+ベバ第3相試験、PFSで良好な結果
ASCO2018泌尿生殖器がんシンポジウム
PD-L1発現陽性の進行/転移RCC患者に対する初回治療でのアテゾリズマブ(テセントリク)およびベバシズマブ(アバスチン)の併用は、スニチニブ単独と比較して試験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)を延長
全身治療を受けたことがなく、またPD-L1の発現が認められる手術不能の局所進行または転移性腎細胞がん(RCC)患者に対し、スニチニブ単独と比較して試験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)が延長することが、ASCO2018泌尿生殖器がんシンポジウム(米国、サンフランシスコ、2月8~10日)で発表されたIMmotion151試験の結果により示されている。IMmotion151試験は、アテゾリズマブ+ベバシズマブの治療レジメンに対するPFSの良好な結果を示す2つ目の第3相試験である。
IMmotion151は、アテゾリズマブ+ベバシズマブの有効性および安全性をスニチニブと比較し評価する、多施設共同、非盲検、ランダム化第3相試験である。アテゾリズマブ+ベバシズマブ群の患者には、アテゾリズマブを固定用量で1200mgおよびベバシズマブ15mg/kgを静注で、臨床的利益が失われるか、または容認できない毒性が発生するまで、3週間おきに投与した。スニチニブ群の患者には、スニチニブ50mgを、臨床的利益が失われるか、または容認できない毒性が発生するまで、1日1回4週間経口投与し、2週間休薬した。
複合主要評価項目は、PD-L1発現陽性(免疫細胞における発現≥1%)患者における、RECIST v1.1を用いた試験責任医師評価によるPFSおよび全患者(ITT)における全生存期間(OS)であった。
PD-L1発現は、Roche Tissue Diagnosticsが開発した免疫組織染色検査(SP142)を用いて前向きに評価した。
副次的評価項目は、PD-L1発現陽性腫瘍患者におけるOS、RECIST v1.1に基づく独立評価機関の評価によるPFS、試験責任医師評価による客観的奏効率(ORR)および奏効期間中央値(mDOR)、MDアンダーソン症状評価票(MDASI)での評価による症状の障害および症状の重症度のベースライン時からの変化、およびEuropean Quality of Life 5-Dimension(EQ-5D)スコアでの評価による健康関連QOL(生活の質)のベースライン時からの変化などであった。
層別因子は、個々の治療前の臨床および検査所見に基づきOSを予測する、スローンケタリング記念がんセンター(Motzer)予後評価システムなどであった。
本試験において、PD-L1タンパク発現陽性患者における、複合主要評価項目のうちの試験責任医師評価によるPFSを延長した。アテゾリズマブ+ベバシズマブを投与した患者のPFS中央値は11.2カ月であったのに対し、スニチニブを投与した患者では7.7カ月であった(HR 0.74、95% CI 0.57~0.96、p=0.02)。
複合主要評価項目のうち全患者における全生存期間(OS)の初回結果は有望であったが、まだ不十分である。
アテゾリズマブとベバシズマブ併用の安全性は、それぞれの薬剤の既知の安全性プロファイルおよび第2相IMmotion150試験で以前に報告されたものと一致していると考えられた。本併用療法において新たな安全性情報は同定されなかった。投与したすべての患者において、治療に関連したグレード3~4の有害事象の発生率は、スニチニブ単独(54%)と比較し、アテゾリズマブとベバシズマブの併用(40%)の方が低かった。
あらかじめ規定したアテゾリズマブとベバシズマブ併用のサブグループ解析の結果により、PD-L1発現陽性患者では、スニチニブと比較し、すべてのリスク因子群(良好、中程度、不良)の患者においてアテゾリズマブの方がPFSの数値の差が有意であることが示唆された。
加えて、あらかじめ定義された患者報告アウトカム(PRO)の解析により、アテゾリズマブとベバシズマブの併用は、全患者において、スニチニブと比較し、日常生活を妨げる疾患症状の悪化を顕著に遅らせることが明らかになった(悪化までの期間の中央値:11.3カ月対4.3カ月、HR 0.56、95%CI:0.46~0.68)。試験デザイン上、事前に定義されたサブグループ解析およびPRO解析では、統計学的有意性について評価されておらず、記述的なものでしかない。
本試験は、治療レジメンの一部にアテゾリズマブおよびベバシズマブを含む試験として、良好な結果を示した2つ目の第3相試験である。Roche社は、2018年2月6日、米国食品医薬品局および欧州医薬品庁などの世界の保健機関と本データについて議論する予定であると発表した。
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