Savolitinibが一部の進行腎臓がん患者に有効な可能性

ダナファーバーがん研究所の研究者らが主導した試験によると、予後不良な進行腎臓がん患者の一部が、がん増殖の原因である異常な遺伝子経路を標的とした試験薬により利益を得たという。

Savolitinib[サボリチニブ]という試験薬が、腫瘍がMETシグナル伝達経路の過剰活性によって増殖した転移性乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者に臨床効果を示したが、MET経路に異常がない腫瘍患者には有効ではなかったと、ダナファーバーの泌尿器がんLANK研究所および腎がん研究所の所長であるToni Choueiri医師が統括する本試験の試験責任医師らは述べた。

Journal of Clinical Oncology誌で報告されたこの単群多施設共同第2相臨床試験の結果は、savolitinibが、転移性乳頭状腎細胞がん患者のうち特定のサブグループに対する個別治療として有望であることを示していると、研究者らは語った。

2017年に、米国単独で、全腎臓がん64,000例のうち約6,400例がPRCCと診断されると推定されている。腎臓がんの大半は淡明細胞がんに分類される。乳頭状腎細胞がんは非淡明細胞型腎がんである。進行または転移性PRCCに有効な治療法はない。

本臨床試験では、局所進行または転移性のPRCC患者109人において、強力な選択的MET阻害薬であるsavolitinibを試験した。患者109人のうち40%はMET活性型の腫瘍であり、42%はMET非依存型の腫瘍で、17%の患者の腫瘍はMET状態不明であった。

結果を解析したところ、MET活性型がん患者のうち18%は腫瘍が著しく縮小し、50%は病勢が安定した。一方、MET非依存型腫瘍患者のいずれも腫瘍の縮小反応がなく、病勢が安定したのは24%だけであった。

さらに、治療後、がんが増殖し始めるまでの期間は、MET活性型腫瘍群では6.2カ月であり、MET非依存型腫瘍群の1.4カ月と比べて有意に長かった。

「これらのデータは、savolitinibがMET活性型の乳頭状腎細胞がん患者において抗腫瘍作用を示すという仮説を支持しています。われわれの試験は、明確な標的分子群を同定したことにより、腎細胞がんのうちまれな患者集団におけるMET活性型腎細胞がんの有病率を明らかにしています」と、著者らは記述した。

副作用のために、患者の一部はsavolitinib投与量を減らし、患者2人は投与を中止したが、この試験薬の忍容性は全般的に良好であったと、研究者らは述べた。

翻訳担当者 有田香名美

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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