カボザンチニブが進行腎臓がん患者の無増悪生存期間を改善

ダナファーバーがん研究所の研究者らが行ったランダム化第2相試験の結果によると、平均よりも転帰不良のリスクが考えられる転移性がん患者において、腎臓がん試験薬の有効性が標準一次治療を上回った。

試験薬のカボザンチニブを投与された患者は、過去10年間転移性腎臓がんの標準的な初期治療薬であったスニチニブ(スーテント)の投与を受けた患者よりも、無増悪期間(がんが増悪するまでの期間)が長かった。

予備的なデータはさらに、カボザンチニブが研究期間中の死亡リスクを20%減少させたことを明らかにした。

多施設試験の結果をまとめたJournal of Clinical Oncology掲載の報告の筆頭著者は、ダナファーバーがん研究所のLank Center for Genitourinary Oncologyセンター長であるToni K. Choueiri医師であり、統括著者はデューク大学メディカルセンターおよびメモリアル・スローンケタリングがんセンターの研究者らである。

「これらの結果は、われわれの診療や腎臓がん患者と密接に関連し、標準を変えるかもしれません」とChoueiri医師は述べた。

「さらに、これらの結果は、国立がん研究所後援の試験が迅速に行われ、この分野にとって非常に必要性の高い結果を出すことができることを証明しています」。

転移性腎淡明細胞がん(RCC)の大部分は治療不能であるが、研究者らは、考えられる転帰の面から、患者を低リスク、中程度リスク、または高リスクに分類する際に用いる因子を特定した。

臨床試験には157人の患者が参加し、81%が中程度リスク、19%が高リスクと判定され、前治療は行われていなかった。

患者の36%が転帰不良の兆しである骨転移を有していた。

現時点で転移性腎臓がんに対して最も有効な薬物は、血管内皮成長因子(VEGF)とその受容体を標的とすることにより血管新生を阻害する薬である。

これらの化合物は、腫瘍への血液供給を遮断して腫瘍の増殖を遅らせる、あるいは縮小させるように設計されている。

スニチニブとカボザンチニブは、いずれもVEGFを阻害する。カボザンチニブは、さらにVEGF 阻害剤耐性に関与するMETおよびAXLがん遺伝子の両方を阻害する。

Exelixis社製造のカボザンチニブは、2016年初めに進行腎臓がんの二次治療として米国食品医薬品局の承認を受けた。

A031203 CABOSUNとして知られる今回の試験では、初期治療としてのカボザンチニブとスニチニブを比較している。

試験の主要評価項目は無増悪生存期間であり、カボザンチニブは中央値8.2カ月、スニチニブは中央値5.6カ月であった。

カボザンチニブは、スニチニブに比べて疾患進行率または死亡率を34%低下させた。

全奏効率はカボザンチニブ投与患者でより良好であり、患者の46%が完全奏効または部分奏効であったのに対し、スニチニブ群は18%であった。

薬剤間で比較を行うように試験はデザインされていなかったが、研究者らによると、比較的短期の経過観察によって得られた予備データから、カボザンチニブ治療が死亡リスクを20%減少させたことが明らかになった。

2剤の安全性および副作用プロフィールに差はなく、他のVEGF阻害剤による治療を受けた腎臓がん患者の結果と同等であったと研究者らは述べた。

有害事象が原因で治療を中止した患者の割合は、2剤で同等であった。

本研究は、米国国立衛生研究所U109CA180821およびU10CA180882の支援を受けた。

翻訳担当者 工藤章子

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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