レンバチニブを転移性腎細胞がん治療薬として欧州医薬品庁が推奨

レンバチニブは、1種類のVEGF標的薬による治療歴を有する患者に対して、エベロリムスとの併用で適応とする。

2016年7月21日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は、切除不能な進行または転移性腎細胞がん(RCC)患者の治療を目的として医薬品レンバチニブ(商品名:Kisplyx)の販売承認を推奨する肯定的意見を採択した。

本医薬品の申請者はEisai Europe Ltd.社である。

Kisplyxは4mgおよび10mgの硬カプセル剤で入手可能になる予定である。Kisplyxの有効成分レンバチニブはチロシンキナーゼ阻害剤(ATC(解剖治療化学分類法)コード:L01XE29)であり、これは血管内皮増殖因子(VEGF)受容体のキナーゼ活性を選択的に阻害し、さらに、血管新生を促進し発がん経路に関与する他の受容体チロシンキナーゼも阻害する。

レンバチニブは、第1b/2相臨床試験の一部として実施されたランダム化試験において、無増悪生存期間(PFS)の延長を示した。すなわち、PFS中央値が、レンバチニブ+エベロリムス併用群14.6カ月(95% 信頼区間: 5.9-20.1カ月)に対して、エベロリムス単独群では5.5カ月 (95% 信頼区間: 3.5-7.1カ月)であり、ハザード比0.40 (95%信頼区間 0.24, 0.68、 p<0.001)であった。また、レンバチニブ+エベロリムス併用による治療効果は、盲検下での独立した画像評価による後ろ向き事後解析によっても支持された。すなわち、PFS中央値は併用群12.8カ月(95% 信頼区間:7.4-17.5カ月)に対して、エベロリムス単独群5.6カ月(95% 信頼区間:3.6-9.3カ月)であり、ハザード比0.45(95% 信頼区間: 0.26, 0.79、 p=0.003)であった。

最も多かった副作用は下痢、疲労、食欲減退、嘔吐、悪心、高血圧であった。重度の下痢は、エベロリムス単独群よりも、レンバチニブ+エベロリムス併用群で高い頻度で認められた。

レンバチニブの対象となる適応の詳細は以下のとおりである。

「レンバチニブは、1種類の血管内皮増殖因子(VEGF)標的薬の治療歴を有する進行腎細胞がん(RCC)成人患者の治療に対して、エベロリムスとの併用療法で適応とする。」

レンバチニブによる治療は、抗がん治療に熟練した医師が開始し、監督しなければならない。

本医薬品に関する推奨詳細は製品概要に記載される予定である。この製品概要は、販売承認が欧州委員会に認可された後、欧州公開医薬品審査報告書に公表されてすべてのEU公用語での閲覧が可能となる。

翻訳担当者 有田香名美

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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