進行腎細胞がんにレンバチニブ+エベロリムス併用のFDA承認
Oncology Approved Drug
2016年5月13日、米国食品医薬品局(FDA)は、抗血管新生療法による前治療歴を有する進行性腎細胞がん患者の治療薬として、エベロリムスと併用投与するlenvatinib[レンバチニブ]カプセル剤(商品名:レンビマ、エーザイ社)を承認した。レンバチニブは当初、局所再発または転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの治療薬として2015年に承認されている。
今回の承認は、抗血管新生療法による治療を受けたことのある進行性または転移性腎細胞がん患者を対象とした、多施設共同ランダム化試験の結果に基づくものである。主な有効性評価項目は、RECISTガイドライン1.1版に従って判定した医師評価による無増悪生存期間(PFS)であった。
同試験では、153人の患者を1:1:1 の割合で、レンバチニブ18 mg + エベロリムス 5 mg併用投与(n=51)、レンバチニブ24 mg単剤投与(n=52)、またはエベロリムス10 mg単剤投与(n=50)へ無作為に割り付けた。薬剤はすべて1日1回経口投与した。患者の95%において転移があった。メモリアル・スローンケタリングがんセンター(MSKCC)リスク分類において、favorableリスク(低リスク)、intermediateリスク(中リスク)、およびpoor リスク(高リスク)に該当した患者の割合は、レンバチニブ + エベロリムス併用投与群ではそれぞれ24%、37%、39%であり、群間でバランスが取れていた。
治験医師評価によるPFSについてレンバチニブ + エベロリムス併用投与群とエベロリムス単剤投与群とを比較した場合、ハザード比は0.37(95%CI: 0.22-0.62)であった。無増悪生存期間中央値は、レンバチニブ + エベロリムス併用投与群では14.6カ月(95%CI: 5.9-20.1)であったのに対し、エベロリムス単剤投与群では5.5カ月(95%CI: 3.5-7.1)であった。この治療効果は、この2群における放射線画像について独立した評価者が後ろ向きに再評価した結果、ハザード比が0.43(95%CI: 0.24-0.75)であったことにより裏付けられた。全生存期間について、レンバチニブ + エベロリムス併用投与群とエベロリムス単剤投与群とを事後解析した場合、ハザード比は0.67(95%CI: 0.42-1.08)であった。
治験医師評価による無増悪生存期間のレンバチニブ単剤療法とエベロリムス単剤療法との比較により、腎細胞がんにおけるレンバチニブの有効性が確認された。レンバチニブ + エベロリムス併用投与は、無増悪生存期間、客観的奏効率、および全生存期間がレンバチニブ単剤療法より数値上優れていることが示された。多重比較については予め特定された計画はなかった。
レンバチニブ + エベロリムス併用投与群において最もよくみられた(30%以上)有害反応は、下痢、疲労、関節痛/筋肉痛、食欲減退、嘔吐、悪心、口内炎、高血圧、末梢性浮腫、咳嗽、腹痛、呼吸困難、発疹、体重減少、出血性事象、および蛋白尿であった。レンバチニブとエベロリムスの併用により下痢が増加し、その19%はグレード3~4であったことから、下痢は新たな安全性の警告として添付文書に追加された。
推奨される用量および投与スケジュールは、レンバチニブ18 mgとエベロリムス 5 mgの併用で1日1回経口投与である。
本申請は、処方薬ユーザー・フィー法(PDUFA)の目標期日である2016年5月16日より前倒しで承認された。レンバチニブとエベロリムスの併用療法は、血管新生阻害薬の投与歴がある進行性腎細胞がんの治療に対して画期的治療薬の指定を受け、本申請は優先審査の対象として指定された。これらの迅速承認プログラムに関する詳細は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」(http://www.fda.gov/ downloads/drugs/ guidancecomplianceregulatoryinformation/ guidances/ucm358301.pdf)に記載されている。
全処方情報は、http://www.accessdata.fda.gov/ drugsatfda_docs/label/2016/206947s003lbl.pdfを参照のこと。
医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象をすべてFDAのMedWatch Reporting Systemに報告しなければならない。報告は、オンライン・フォームへの記入(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、FAX(1-800-FDA-0178)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームの郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
腎臓がんに関連する記事
進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果
2024年10月14日
進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されない
2024年9月25日
腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性
2024年7月13日
腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす
2024年5月25日