カボザンチニブは腎臓がんの無増悪生存期間を改善

キャンサーコンサルタンツ

VEGFR標的治療後に増悪した進行腎臓がんの患者において、分子標的薬カボザンチニブ [cabozantinib]はエベロリムス(アフィニトール)と比較して、病勢進行までの期間と生存期間を有意に改善するとの研究結果が、このほどNew England Journal of Medicine誌で発表された。

米国では毎年、58,000人超が腎臓がんと診断されている。もっとも一般的な種類の腎臓がんは腎細胞がん(RCC)で、腎臓内のごく細い管(尿細管)の上皮で発生する。進行腎細胞がん(がんが体の他の箇所に転移している)の患者にとって、分子標的療法は治療で重要な役割を果たす可能性がある。腎細胞がんは、VEGFR標的治療が奏効しやすいがんの一種である。残念なことに、腎臓がんもVEGFR標的薬に対して抵抗性になりやすい。

VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)は、がん細胞の増殖に必要な栄養を血液を介して運搬する新生血管の増殖に関与する生物学的経路の一部である。VEGFR標的治療薬は、VEGFR経路を阻害し、新生血管の増殖能力を低下させる。

カボザンチニブは、経口低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、血管内皮増殖因子受容体 (VEGFR)や、腎臓がんの転移に関与するその他の生物学的経路を標的とする。カボザンチニブは最近、甲状腺髄様がんの治療薬として承認された。

カボザンチニブはVEGFRを標的とし、研究者は最近、VEGFR標的治療後にがんが増悪した658人の腎細胞がん患者を対象として臨床試験を実施した。患者はカボザンチニブか、エベロリムスのいずれかによる治療を受け、直接比較された。

カボザンチニブによる治療を受けた患者のがん増悪までの平均期間は7.4カ月で、これに比較してエベロリムスによる治療を受けた患者はわずか3.8カ月であった。
カボザンチニブは忍容性に優れており、実際の全生存利益を確認するために、より長期間のフォローアップが必要である。

参考文献:
Choueiri T, Escudier B, Powles T, et al. Cabozantinib versus everolimus in advanced renal-cell carcinoma. New England Journal of Medicine. September 25, 2015 DOI: 10.1056/NEJMoa1510016


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翻訳担当者 三木村 秋

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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