進行腎がんにアベルマブ+アキシチニブ併用はスニチニブよりも優れる(第3相最終期解析)

JAVELIN Renal 101試験の最終解析結果

未治療の進行腎細胞がん(RCC)患者を対象に実施された第3相JAVELIN Renal 101試験では、最終的な全生存率(OS)解析で、アベルマブ(販売名:バベンチオ)とアキシチニブ(販売名:インライタ)の併用がスニチニブ単独よりも優れていたが、その差は事前に規定された有意差の境界には達しなかった。これは進行RCCを対象とした第3相試験における免疫チェックポイント阻害剤(ICI)とチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)併用療法に関するこれまでで最も長い追跡調査である。

研究者評価による無増悪生存期間(PFS)および客観的奏効率(ORR)は、アベルマブとアキシチニブの併用により大幅に改善され、これまでの解析と一致していた。これらの結果は、米国マサチューセッツ州ボストンにあるダナファーバーがん研究所のToni K. Choueiri氏、米国ニューヨーク州ニューヨークにあるスローンケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らによって、2024年12月17日にAnnals of Oncology誌に報告された。

第3相JAVELIN Renal 101試験のこれまでの解析では、アベルマブとアキシチニブ併用療法は、PD-L1陽性集団(主要評価項目)および全集団においてスニチニブと比較して有意に長いPFSを示し、奏効率はほぼ2倍になったが、全生存期間データ(主要評価項目)は十分評価できる段階に達していなかった。研究者らは、Annals of Oncology誌に掲載された最新の原稿で、全生存期間の主要解析を含むJAVELIN Renal 101の最終解析結果を報告した。

未治療の進行腎細胞がん(あらゆる予後リスクスコア)の患者が本試験に登録された。主要評価項目は、PD-L1陽性集団における生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)であった。奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性、および患者報告アウトカム(PRO、*サイト注:患者が報告する副作用)も評価された。すべての患者における最短追跡期間は68カ月であった。

PD-L1陽性集団では、アベルマブ+アキシチニブ併用療法とスニチニブ単独療法のOS中央値はそれぞれ43.2カ月(95%信頼区間[CI] 36.5~51.7カ月)、36.2カ月(95% CI 29.8~44.2カ月)(ハザード比[HR] 0.86、95% CI 0.701~1.057、p = 0.0755)、全集団ではそれぞれ44.8カ月(95% CI 39.7~51.1カ月)、38.9カ月(95% CI 31.4~45.2カ月)(HR 0.88、95% CI 0.749~1.039、p = 0.0669)であった。研究者評価によるPFSは、アベルマブ+アキシチニブの併用療法の方がスニチニブ単独療法よりも延長しており、全集団における5年無イベント率は、それぞれ12.0%(95% CI 8.9%~15.6%)、4.4%(95% CI 2.5%~7.3%)であった。

全集団における奏効率は、アベルマブ+アキシチニブ併用療法で59.7%(95% CI 55.0%~64.3%)、スニチニブ併用療法で32.0%(95% CI 27.7%~36.5%)であった。奏効期間(DoR)が5年以上であったのは、それぞれ16.4%(95% CI 12.0%~21.4%)、9.2%(95% CI 4.6%~15.7%)であった。

長期の追跡調査により、アベルマブとアキシチニブの併用療法の安全性プロファイルが確認され、新たな安全性シグナルは特定されなかった。グレード3以上の治療関連有害事象の発生率は、それぞれ66.8%、61.5%であった。治療中の患者報告アウトカム(PRO)は両群で同等であり、チロシンキナーゼ阻害薬治療にアベルマブを追加しても健康関連QoLに悪影響がないことが示唆された。PROは6週間ごとに測定されたが、これはスニチニブ群の「治療休止」週に相当するため、結果はスニチニブによる平均的な症状の負荷を反映していない可能性がある。

著者らは、JAVELIN Renal 101において、OS解析ではアベルマブとアキシチニブの併用がスニチニブよりも優れていたが、統計的有意には達せず、その後の治療が結果に影響を与えた可能性があると結論付けた。アベルマブとアキシチニブの併用は、スニチニブと比較して、無増悪生存期間(PFS)の延長、ほぼ2倍の奏効率、より持続的な反応などの長期的な有効性の利益が得られ、長期的安全性プロファイルは管理可能であった。

本試験はファイザー社の支援を受けており、以前はメルク社とファイザー社との提携の下で実施された。解析はメルク社とファイザー社の支援を受けた。

参考文献
Choueiri TK, Penkov K, Uemura H, et al. Avelumab + axitinib versus sunitinib as first-line treatment for patients with advanced renal cell carcinoma: final analysis of the phase III JAVELIN Renal 101 trialAnnals of Oncology; Published online 17 December 2024. DOI: https://doi.org/10.1016/j.annonc.2024.12.008



  • 監訳 東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/奈良県総合医療センター)
  • 記事担当者 生田亜以子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2025/02/11

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

2025年ASCO泌尿生殖器がんシンポジウムで発表されたダナファーバー演題の画像

2025年ASCO泌尿生殖器がんシンポジウムで発表されたダナファーバー演題

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、2025年2月13日から15日までカリフォルニア州サンフランシスコで開催される2025 ASCO泌尿生殖器(GU)がんシンポジウムで重要な研究成果...
個別化がんワクチンNeoVaxはステージIIIおよびIVの腎臓がんに有望の画像

個別化がんワクチンNeoVaxはステージIIIおよびIVの腎臓がんに有望

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、ステージIIIまたはIVの淡明細胞型腎細胞がん(腎臓がんの一種)の治療を受けている臨床試験の患者9人全員が、個別化がんワクチン投与開始後に抗がん免...
米FDAがニボルマブ+ヒアルロニダーゼ-nvhy皮下注を承認の画像

米FDAがニボルマブ+ヒアルロニダーゼ-nvhy皮下注を承認

2024年12月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、ニボルマブ(販売名:オプジーボ、Bristol Myers Squibb社)の承認済みの成人固形がん適応症に対して、単独療法、ニボ...
進行腎がんの一次治療にベルズチファン新併用療法が引き続き検討されるの画像

進行腎がんの一次治療にベルズチファン新併用療法が引き続き検討される

研究概要研究タイトル:進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対する一次治療としてのbelzutifan[ベルズチファン]+カボザンチニブ併用療法(LITESPARK-003試験):非盲...